米コメディアンが不明旅客機をジョークに マレーシアが反発、国際捜査の協力要請へ
離陸後に行方不明になったマレーシア航空(MH)370便について、米ニューヨーク在住のコメディアンがジョークを飛ばし、マレーシアが反発している。このコメディアンに関する情報を得ようと、マレーシアの警察が国際刑事警察機構(インターポール)に協力を求める事態となっている。
このコメディアンは、シンガポールで育った米国人ジョセリン・チアさん。ニューヨーク・マンハッタンのコメディー・セラーという店に最近出演した際の動画を、先週オンラインで公開した。
その中でチアさんは、シンガポールとマレーシアの歴史的な反目というお決まりのテーマを取り上げた。両国はかつては一つの国だった。
チアさんは、シンガポールが「先進国」になったのに対し、マレーシアは「発展途上国」のままだと指摘。マレーシアの航空機は「飛ぶことができない」とジョークを飛ばした。
さらに、「マレーシア航空が行方不明だなんて、笑えないでしょう? ジョークの中には着地しない(うけない)ものもある」と述べた。
MH370便は2014年3月、クアラルンプールを離陸後に行方不明になった。インド洋で4年にわたって捜索が行われたが、機体の主要部分は発見されておらず、乗員乗客239人は全員死亡したとみられている。
■インターポールに協力要請へ
マレーシアの警察は、扇動と侮辱的なオンラインコンテンツに関連する同国の法律に基づき、チアさんについての捜査を進めているとしている。
マレーシア国家警察トップのアクリル・サニ・アブドゥラ・サニ氏は13日、チアさんの「完全な身元」と「最新の居場所」に関する情報を得るため、インターポールに申し入れをすると述べた。
チアさんの動画は、マレーシアで大きな反発を生んだ。TikTok(ティックトック)は、ヘイトスピーチのガイドライン違反だとして削除した。
シンガポールの駐マレーシア大使は、チアさんがシンガポール人を代弁しているわけではないと述べた。シンガポールのヴィヴィアン・バラクリシュナン外相は、「恐ろしい発言」だとして、チアさんを非難した。
チアさんは11日、これまで「100回以上」このジョークを披露してきたが何の問題もなかったと、米CNNに語った。
また、このジョークに問題はないと考えているとし、動画の一部が文脈を無視して取り上げられたと述べた。
(英語記事 Malaysia seeks New York comedian over MH370 joke)
(c) BBC News