「馬を棒で叩く『上げ馬神事』は虐待だ」愛護団体が祭りの関係者を刑事告発 三重・桑名

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桑名市の広報誌(2023年5月号)に載せられた「上げ馬神事」の様子(ホームページより)

【動画】実際の神事の様子

神事は、武者姿の若者が騎手となって約2メートルの土壁を駆け上がり、豊凶を占う。県によると、少なくとも江戸時代からは続いているとされ、無形民俗文化財に指定されている。

コロナ禍での中断を経て、今年5月に多度大社で4年ぶりに開催された。骨折した馬1頭が殺処分されたことや、馬を棒でたたくなどの行為が「虐待だ」などと批判を集めていた。

団体は「動物愛護に対する精神は近年変わってきている。動物を利用するということ自体をやめてほしい」と話している。

●「ムチでたたく行為は違法」

告発したのは、和歌山のイルカ漁などを調査するLife Investigation Agency(LIA)。祭りを司る「御厨(みくりや)総代会」の代表や騎手、神事を奉納する6地区の区長・青年会などを対象に、4件の容疑を挙げる。「竹のムチ(棒)や手で繰り返したたきつけるのは暴力行為」「馬が骨折したのは競走馬(引退馬)を再調教するには高度な専門技術が不可欠なのに、それを怠ったため」などとしている。

動物愛護法44条は「愛護動物に対し、みだりに給餌又は給水をやめることにより衰弱させる等の虐待を行つた者は、50万円以下の罰金に処する」と規定しており、神事は「虐待」に当たると訴えている。さらに、獣医師についても県知事や関係者への報告義務を怠ったとして41条に違反したとしている。

告発状を受理するか否かは県警が判断し、捜査するかを決める。期限は決まっていない。県警生活安全部は弁護士ドットコムニュースの取材に対し「送付があったかどうかも含めて回答を差し控える」としている。

●過去には書類送検も

県によると、馬の取り扱いについては15年ほど前から、動物愛護団体などを中心に「動物虐待だ」という指摘を受けていた。2010年には、NPOなどの刑事告発を受ける形で、県警が捜査。関係者11人が書類送検されたが、嫌疑不十分で不起訴となった。

こうした経緯もあり、少しずつ変更を重ねながら続いてきた伝統行事。県の担当者は「電話やメールなど1000件以上のご意見があり、今年は馬の扱いだけでなく、神事そのものに対する疑問もいただいた。一つ一つの事象を検討していく必要があると考えています」と話す。

一見勝之知事は6月13日の定例会見で、十数年で4頭がけがをして殺処分となっており「事故の頻度が多い。主催者側に何らかの対応が考えられないかと言った方がよい」と述べた。同19日には県や神社、神事関係者らが「事故防止対策協議会」を開き、壁の構造を見直す方針を確認したという。

LIAは「問題の根本は急坂や壁の構造ではない。毎年、不適切な行為を批判されながら、県も神社も黙認してきた」と反発している。2022年には岩手県遠野市で行われている馬力大会で、ロープで馬の顔をたたいたとして告発したところ、県警が男性を書類送検した。不起訴となったものの、遠野市が今年はムチやロープで馬をたたく行為を禁止したという。

「動物愛護法違反で告発しても98%は不起訴です。今はSNSに動画が多く上がり、世間の受け止め方が変わってきた。告発が一歩となり、虐待の抑止力につながっていくはずです」

●神社・県「判断主体は地区」

神事が行われている多度大社は「馬の扱いについては、神事を奉納する6地区が主体」とした上で、700年以上前からの歴史があり、今後もよりよい形で継承していきたいとする。殺処分となったテイクワン号の共同馬主である米穀店に非難が集中したこともあり、6月19日には慰霊祭を開いたという。

県は虐待に当たるかどうかを含めて専門家や警察などの判断を仰ぎながら、明らかに不適切な行為や必要以上の行為については啓発を続けると説明。「どのように継承していくかは、最終的には各地区が自らの判断で、社会通念に照らして考える必要がある」と話した。

弁護士ドットコムニュース編集部

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