[ad_1]
耐震データ偽造事件の資料を見ながら、取材に応じるヒューザー元社長の小嶋進さん
2005年に発覚した元1級建築士による耐震データ偽造問題。首都圏の完成済みマンション45件が対象となり、住民は退去や補強を余儀なくされた。発覚直後、国会で「何言ってんだ! ふざけんじゃないよ!」と叫び、「事件の黒幕か」と非難の的になった人がいる。不動産デベロッパー「ヒューザー」の社長だった小嶋(おじま)進さん(69)。長い歳月を経て、鋭かった眼光はずいぶん穏やかになった。当時の自分に、そして被害者に、今思うことは。
【写真】国会で検査機関社長を怒鳴り、にらみつける当時の小嶋さん
「これからは死に様を見てほしい」
05年11月。問題の物件に携わった業者たちが国会に並んだ。ヒューザーは、対象となる多くの物件の建築主で、小嶋さんも呼ばれた。
偽造は元1級建築士個人によるものか。それとも業界ぐるみだったのか。その後の裁判で元建築士の個人犯罪だったと認定されるが、当時は未解明だった。テレビ中継された参考人質疑の場で、元建築士作成の構造計算書をチェックする立場だった検査機関の社長に「偽造で一番利益を得るのはデベロッパー(ヒューザー)」と言われ、後ろの席から思わず上げた怒鳴り声が「ふざけんじゃない」だった。
「自分たちが偽造を見落としたことを棚に上げ、責任をなすり付けられたように感じて叫んでしまった。もう少し冷静になればよかった」。今年8月、小嶋さんは東京都内の小さなオフィスで当時を振り返った。現在は、家族経営の不動産会社で働く。髪は白くなり、当時の険しさからは想像もつかないほど、表情も柔和になった。「生き様には失敗した。これからは死に様を見てほしいんです」
低価格路線で「違法」疑われ
宮城県の農家の次男として生まれた。大学を目指して浪人中、消火器セールスのアルバイトで当時の大卒新入社員以上の給料を手にしたことから「商売で生きていこう」と決意する。28歳の若さでヒューザーを設立した。
100平方メートル以上の物件を、庶民でも買える価格で提供する戦略で業績を伸ばした。「日本の分譲マンションは狭くて1代しか住めない。3世代がそれぞれ家を買い、ローンに追われている現状を変えたい」という思いからだった。
都心の一等地や駅近にはこだわらず、豪華な共用施設も省いて低価格を実現した。だが問題発覚後は「違法なコスト削減があったからできた」と疑われた。「鉄骨を半分にしても、せいぜい1戸30万円弱しかコストを減らせない。そんな割に合わない指示はありえない」。訴えは批判にかき消され、同社も破産に追い込まれた。
[ad_2]
Source link