米シンクタンク、大規模な投資がなければ老朽化した戦闘機戦力は破綻する

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米国のミッチェル航空宇宙研究所は「大規模な投資がなければ空軍の老朽化した戦闘機戦力は破綻する。現実世界のニーズは戦闘機戦力の能力を上回っており、この深刻さを国民に理解させるには大きな戦争で負ける必要があるのかもしれない」と述べた。

米空軍の戦闘機戦力は2,000機を下回る可能性が高く、中国空軍の差は急速に縮まりつつある

ミッチェル航空宇宙研究所は6月末に発表したレポート(Accelerating 5th Generation Airpower)の中で「現在の戦闘機戦力は老朽化(A-10、F-15C/D、F-16C/D、F-15Eの平均機齢は41年、38年、32年、30年)が進んでいる」と指摘、レポートを執筆したジョセフ・グアステラ元空軍中将は「計画された耐用年数を過ぎている。機体が古くなればなるほど必要な整備と部品交換が増加し、その影響でパイロットの飛行時間が減少する。中国空軍のパイロットは米空軍のパイロットよりも飛行時間が長く、この差が実戦で違いを作り出す」と述べた。

米シンクタンク、大規模な投資がなければ老朽化した戦闘機戦力は破綻する

出典:Mitchell Institute for Aerospace Studies

さらにレポートは「冷戦終結後の予算削減で空軍は戦闘機の在庫を4,556機から2,176機に減らし、不足する能力を戦闘効率が高い第5世代戦闘機でカバーしようとしたが、F-22の調達数は750機から187機に削減され、F-35の調達ペースも予定していた水準を大幅に下回る。新造機の調達ペースが急減したため戦闘機戦力に押し寄せるニーズは既存機をより早いペースで消耗させたが、この問題を解決する資金を空軍は持っていない。過去31年間に陸軍は空軍よりも1兆3,000億ドル、海軍は9,000億ドルも多く予算を受けて取っており、この不均衡を是正すべきだ」と訴えている。

米空軍は老朽化したA-10、F-15C/D、F-16C/D、F-15E、アップグレードに多額の費用がかかるF-22Block20など計801機の戦闘機を段階的に退役させる計画(議会の承認が必要)だが、2028年までに取得する新しい戦闘機は345機に留まるため、米空軍の戦闘機戦力は2,000機を下回る可能性が高く、レポートは「老朽化した機体を処分して『次期戦闘機の開発費用や新機材の調達費用を捻出する』というアプローチは在庫が最も潤沢だった頃に上手く機能したが、現在の在庫規模では殆ど意味がない」と指摘。

米シンクタンク、大規模な投資がなければ老朽化した戦闘機戦力は破綻する

出典:Lockheed Martin

レポートは「持続可能な20年のリフレッシュレートを達成するには最低でも戦闘機を毎年109機(2024年は72機)購入する必要があり、そうすれば長期的な運用・維持コストを抑制できる」と主張しているものの、これを実現するには追加資金が必要で、グアステラ元中将は「この深刻さを国民に理解させるには大きな戦争で負ける必要があるのかもしれない」と述べているのが印象的だ。

要するに空軍は「戦闘効率の高い第5世代機に移行することで戦力規模が小さくても要求されるニーズを満たすことが出来る」と考えていたのだが、F-15をF-22で更新することに失敗し、F-35は開発の遅れとコストの高騰で調達が進まず、耐用年数を越えた第4世代戦闘機の能力は相対的にどんどん劣化していくのに運用・維持コストは右肩上がりで、議会は「手持ちの予算をやりくりして中国の脅威に対処しろ」と要求するため、空軍は老朽化した機材を処分して予算を捻出しようとしているのだが議会が反対しているため、もう予算を増やす以外に問題を解決する手段が無いのだろう。

米シンクタンク、大規模な投資がなければ老朽化した戦闘機戦力は破綻する

出典:中国中央電視台のスクリーンショット

中国はJ-20の大量生産(年間70機以上)を始めており、第4.5世代機のJ-10CやJ-16の大量生産も順調に推移しているためJ-7が2023年中に退役する予定で、1,400機以上の戦闘機戦力はJ-10(500機+)、J-11(350機)、J-16(245機+)、J-20(208機+)、Su-30MKK(73機)、Su-35(24機)で構成され、2,176機の大半が耐用年数を過ぎている米空軍とは大きな差がついている。

因みに空軍予算には通称「Pass Through」と呼ばれる空軍が手を付ける事ができない極秘予算(2021年度は380億ドル=噂では軍事関連ではなく諜報機関の資金で会計処理上これを単独処理すると目立ち過ぎるため空軍予算に組み込んでいるらしい)が含まれており、空軍は何年も前から「極秘予算の負担を空軍だけに押し付けるのは不公平なので国防予算全体から支出してほしい」と要求している。

米空軍、F-15Eの旧型119機を2028年までに削減することを検討中
米空軍が保有する戦闘機の在庫は過去最低水準、老朽化は過去最高水準
第5世代機と第4.5世代機の生産が順調な中国、今年中にJ-7が退役
中国空軍はJ-20を200機以上保有が確定、大量生産への移行が濃厚

 

※アイキャッチ画像の出典:Photo by Staff Sgt. Taylor Drzazgowski

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