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夏の登山シーズン始まる
多くの人が登山を楽しむ夏シーズン。一方で、登山時のトラブルも相次いでいる。
17日、富士山では登山中の5歳児が体調不良を訴え嘔吐。救急要請があり病院に搬送された。同日は60代の男性が下山中に転倒し、亡くなる事故も発生した。
【映像】キャンプじゃないのに…登山道で堂々と焚き火する男性(画像あり)
登山客の“マナー違反”も増加している。中には男性が登山道で焚火を行っていたケースもあり、火の不始末があれば山火事にもなりかねない危険な行為だ。
長野県・飯縄山の携帯トイレ使用ブースでも“マナー違反”
北陸地方・白山の甚之助避難小屋では登山客がトイレにビニールやカップ麺の容器など1キロにおよぶゴミを流したために排水溝が詰まり、去年9月から使用禁止になった。現在も全面的な復旧には至っていない。
また、長野県・飯縄山の携帯トイレ使用ブースでは、糞尿の入った袋が放置され、時には排泄物が床に散らばっているという。現地では2人の常連登山者がボランティアで掃除や修繕を続けているが、目に余る登山客の行動は後を絶たない。
■知らない人がなぜ? 山小屋経営者「どなたですか」“不法侵入”トラブルも
北アルプスで山小屋「三俣山荘」を経営する伊藤圭さん
北アルプスで山小屋「三俣山荘」を経営、登山道の整備や景観保護にも尽力している伊藤圭さんも「残念な出来事があった」と話す。ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した伊藤さんは「ゴールデンウィーク中、バックカントリースキーで自分の山小屋の視察に行った」という。
「身内のスタッフと仲間と一緒に、2チームに分かれて行った。頑張ってたどり着いて山荘に到着して2階を見上げたら、ドアが開いていた。もう1チームが先に着いたのかなと思って『早く着いたね、お疲れさま』と言ったら全然知らない人が出てきて『お疲れ様です』と言われた。『どなたですか?』と聞くと『ここ泊まれるって聞いたから泊っているんだよね』と言われた」
山小屋「三俣山荘」で起きたこと
詳しく聞くと、2月あたりから山小屋の裏口が事故で開いていたという。
「発見した人が泊まり始めて、脈々と口伝えで『あの小屋、泊れるらしいよ』みたいになったらしい。10組ぐらいは泊っていたのかなという形跡があった。中にいた人には『自分はここの経営者だ。こういうことはやめてください』と言って、退去してもらった」
山小屋は伊藤さんが好意で貸していたわけではなく、不法侵入に当たるという。
「三俣山荘は国立公園内なので、林野庁に借地料を払って経営している。厳冬期に山小屋の扉が開くと、ものすごい猛吹雪なので、どこからでも雪が入ってくるし、動物も避難してくる。厳冬期でマイナス20度ぐらいになると、本当に生命の危険がある。そういう時は命が大切なので、緊急避難されてもしょうがない。これは、山小屋の伝統としてある。ただ今回は『山小屋を使ったほうが楽だから』といった理由だ。マナーとして間違っている。せめて扉は閉めて帰ってほしかった」
子どもの頃から山小屋に慣れ親しみ、約40年、現場を見てきたという伊藤さん。その上で「全体のマナーは下がっているとは思わない」と見解を述べる。
「昔はゴミを持ち帰ることがマナーとして全くなかった。混んでいるシーズンに山小屋が満員になると、入口がゴミだらけで、登山道上に捨てていく人も多かった。だんだん『ゴミは持ち帰るもの』と常識になってきて、一概にマナーが下がっているとは感じない。ただ、伝統的な登山客たちとは全く別の人種が入ってきたとは思う。その人たちは伝統を知らないから『楽しいからやろうぜ』といった行動が、実は山ではタブーだということがある」
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