
【2023年サッカー女子W杯】 日本は「今大会最高」で「見ていて楽しい」 欧州の元代表ら称賛
ニール・ジョンストン、BBCスポーツ(ウェリントン・リージョナル・スタジアム)
日本はサッカー女子ワールドカップ(W杯)2011年ドイツ大会を制覇した。しかし、その黄金時代のあと、苦しい期間が続いた。
初優勝から12年がたった今、日本は再び栄光の時代を迎えつつあるのか?
「なでしこジャパン」は7月31日、ニュージーランドの首都ウェリントンでスペインを4-0で撃破。グループCを首位で通過し、ベスト16による戦いへと進んだ。いかに強い思いで今大会に臨んでいるかを見せつける内容だった。
「日本の陣形、守備、カウンター攻撃は見事だった」。元スペイン代表MFヴィッキー・ロサダさんは、英ITVでそうコメントした。
元イングランド代表FWエニオラ・アルコさんも、「あらゆる点で、今大会見た中で最高のチーム」だと評した。
日本の次の試合は、5日午後8時(日本時間同5時)キックオフのノルウェー戦だ。再びウェリントンでプレーする。
前回の2019年フランス大会で、日本はベスト16止まりだった。今大会は果たして、優勝できるだろうか?
■「チャンスを無駄にしない」
日本の池田太監督は、ウェリントン・リージョナル・スタジアムでのスペイン戦のあと、記者会見に臨んだ。15分ほど質問に答えて席を立つと、日本の報道陣は拍手で見送った。
一方、選手たちはこれより先に、ピッチで観客から総立ちの拍手を浴びていた。FIFAランキング6位のスペイン相手に大勝したからだ(日本は11位)。
日本は守りが堅く、攻めはすさまじい。
ここまでニュージーランドで戦った3戦全てで、失点はゼロだった。一方、得点は大会最多の11点を記録した。
MF宮澤ひなたは、現時点の最多得点者だ。グループステージ(1次リーグ)初戦のザンビア戦で2点を挙げ、スペイン戦で2ゴール上乗せした。
日本はスペイン戦でボール支配率が23%しかなかったのに、相手より巧みに戦った。驚異的な勝ち方だった。
「日本はチャンスを無駄にしない」。元アイルランド代表GKエマ・バーンさんはITVで、こうコメントした。
「前半、3度のチャンスで3点を挙げた。ボール支配率よりも、そっち(効率的な得点)のほうが大事だ」
■「見ていて楽しい」
日本が女子W杯のグループステージで全勝したのは、2015年大会に続いて2度目だ。
そのときは、日本は決勝まで勝ち進んだ(最後はアメリカに敗退)。そして今大会も、8月20日にオーストラリア・シドニーである決勝まで勝ち進む可能性があると、元スペイン代表のロサダさんはみている。
「日本は見事だ」、「スペインのようなチームにも勝てることを示した。日本代表は見ていて、本当に楽しかった」。
元イングランド代表のアルコさんは、「すべてのプレーが落ち着いていた。フィニッシュ、陣形、守備、そして攻撃の場面、ボールを失ったところからのカウンターは素晴らしかった」とたたえた。
■5人交代させ4ゴール
日本代表は選手層が厚い。
池田監督は、ダニーデンで2-0で勝利したコスタリカ戦の5日後、先発メンバーを5人変えてスペイン戦を迎えた。対してスペインは、変更は1人のみ。可能な限り最強に近い布陣で臨んだかに見えた。
日本代表の先発には、英リヴァプールのMF長野風花、英ウェスト・ハムのDF清水梨紗、MF林穂乃香が名を連ねた。さらに英マンチェスター・シティのMF長谷川唯も途中出場した。
ベンチの采配も光った。途中出場のFW田中美南が、同じく途中出場のDF守屋都弥のアシストで見事な4点目を決めた。
池田監督は、1戦目と2戦目ではボールを持つ時間は長かったが、カウンターを警戒しなければならなかったと説明。
スペイン戦では守りの時間が長くなるとわかっていたとし、自分たちが望む展開にするにはすべてのチャンスを生かす必要があることも理解していたと述べた。
そのうえで、それがうまくいったのだと、監督は話した。
(英語記事 ’Best team we’ve seen’ – can Japan go all the way? )
(c) BBC News