陸上100メートルでタイム21秒超 ソマリア当局者を停職、選手選考で身内びいきか


陸上100メートルでタイム21秒超 ソマリア当局者を停職、選手選考で身内びいきか

陸上100メートルでタイム21秒超 ソマリア当局者を停職、選手選考で身内びいきか

注目を集めたのは、ナスラ・アブバカル・アリ選手。中国・成都で開かれている「ワールド・ユニヴァーシティー・ゲームズ」で1日にあったレースの映像では、スタート直後から他の選手にぐんぐん引き離され、最後はゴール付近で楽しそうにスキップした。

タイムは21.81秒で、この種目の優勝選手より10秒以上遅かった。

ソマリアの青年スポーツ省が調査した結果、同選手は「スポーツパーソンでもランナーでもない」ことがわかったという。

■陸連会長を停職に

この件をめぐり、ソマリア陸上競技連盟のカディジョ・アデン・ダヒル会長が、権力を乱用し、ソマリアの名誉を傷つけたとして非難されている。

同会長は、ソマリアのスポーツ省とオリンピック委員会の会議後、停職とされた。

初期の調査では、「ソマリア大学スポーツ協会」という、実体のないスポーツ団体が浮かび上がった。

スポーツ省は、この団体の「でっち上げ」に関与した人物と、ソマリア陸連の会長に対し、法的措置を取ると述べた。

同省は、ダヒル会長とアリ選手の関係については詳しく説明しなかった。

■「国の印象を悪くする」

モハメド・バレ・モハムド・スポーツ相は、今回の出来事は恥ずべきことだと発言。

「今日起きたことは、ソマリア国民を代表するようなことではなかった。(中略)ソマリア国民に謝罪する」と述べた。

そもそも、なぜ同選手が選ばれたのか。ソマリアの人々は疑問の声を上げている。

「政府の能力のなさを目の当たりにして、がっかりしている。どうやったら、練習を積んでいない少女をソマリア代表に選べるのか?」。ソーシャルメディアには、そんな投稿がされている。「本当にショッキングで、私たちの国の印象を国際的に悪くしている」。

■過去にも選考で物議

ソマリア大学協会はフェイスブックへの投稿で、出場選手の選出には一切関わっていないとした。

ソマリア陸上連盟は、アブバカル・アリ選手が選出された経緯について、調査することに同意したと報じられている。

同国は以前も、国際大会に出場する陸上選手の選考をめぐって、論議を巻き起こしている。

2016年のリオデジャネイロ・オリンピックの女子400メートルでは、出場選手の平均タイムが48秒前後のなか、マリアン・ヌフ・ムセ選手が1分10秒14という低調なタイムでゴールした。

しかしこの時は、多くの人が彼女をたたえた。ハイレベルのスポーツ大会への出場を目指すソマリアの女性たちが直面する困難を乗り越えたとされた。

2012年のロンドン・オリンピックでは、ザムザム・モハメド・ファラー選手が女子400メートルに出場。タイムは1分20秒48で、金メダリストからは30秒近く遅かった。

同選手は大会中ずっと、殺害予告を受けていたとされた。女性はスポーツに参加すべきではないと考える、一部のソマリア人によるものだったとされる。

(英語記事 Somalia suspends sports official over slow sprinter)

(c) BBC News



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