スズメバチもドローンによる攻撃にはお手上げ…消防隊員が開発=韓国


出動件数の14%がスズメバチの巣の駆除

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スズメバチもドローンによる攻撃にはお手上げ…消防隊員が開発=韓国

スズメバチの巣を駆除するためのドローンが木の枝にぶら下がるスズメバチの巣に向かって殺虫剤を噴射している=イ・グンチュル消防尉提供

スズメバチもドローンによる攻撃にはお手上げ…消防隊員が開発=韓国

慶尚南道固城消防署巨流119安全センター所属のイ・グンチュル消防尉が、自らが開発したスズメバチの巣駆除用ドローンを紹介している

 先月27日午前10時ごろ、慶尚南道の固城(コソン)消防署巨流(コリュ)119安全センターにスズメバチの巣の駆除要請が入った。固城郡東海面外谷里(トンヘミョン・ウェゴンニ)の九節山(クジョルサン)麓に住む住民からの要請だった。巨流119安全センター第1チーム所属の4人の隊員が消防車に乗って出動した。しかし問題が生じた。山道が狭くて険しいため、消防車を途中で止めざるを得なかったのだ。隊員たちはドローンとはしごを持って10分あまり山道を登った。到着すると、庭の片隅の高さ15メートルほどの松のてっぺんにバレーボールボールほどの大きさのスズメバチの巣がぶら下がっていた。はしごが届かない高さだ。10匹あまりのスズメバチが巣の周りで激しく警戒飛行をしていた。

 近づくのは難しいと判断した消防士たちはドローンを使うことにした。見物に集まってきた住民たちを全員避難させ、隊員たちも巣から50メートルほど離れた場所まで退いた。しばらくするとスズメバチ駆除用ドローンが空に舞った。殺虫剤噴射装置がついた特殊なドローンだ。イ・グンチュル消防尉(消防士の階級のひとつ)がリモコンのモニターを見ながらドローンを巣の近くまで接近させた。「シューッ」。ドローンが殺虫剤を噴射した。突然の攻撃に驚いた数十匹のスズメバチが巣からあふれ出てきてドローンを囲み、反撃に打って出た。スズメバチの抵抗は猛烈だったが無駄だった。間もなく殺虫剤を浴びたスズメバチが、秋風に舞う落葉のように地面に落ちてきた。主を失ったスズメバチの巣も粉々になった。状況終了。ドローンを飛ばして10分ほどの出来事だった。

 スズメバチの巣の駆除は119救助隊の出動目的の14%ほどを占める。そのような中、現職の119救助隊員がスズメバチの巣駆除用ドローンを開発し、注目されている。慶尚南道固城消防署巨流119安全センター第1チーム長のイ・グンチュル消防尉(53)だ。

 イさんは9日、「ほとんどの市民は、消防が多く出動しているのは火災事故だと思っているが、スズメバチの巣のために出動するケースの方が多い。スズメバチの巣を駆除中にけがをしたり、ハチに刺されたりする隊員もかなりいる」と話した。スズメバチの巣の駆除は、主に真夏に全身を覆う保護服を着て1時間以上にわたって作業するため、疲れ切ってしまう隊員も多いという。それが、イさんがスズメバチの巣駆除用ドローンを開発した背景だ。

 スズメバチの巣が10メートル以下の低い場所にあれば、はしごにのぼって駆除する。はしごが届かないほど高い場所は消防車が水を放って駆除する。しかしはしごが届かず、消防車も接近できない場所も多い。

 2017年から救助活動にドローンを使用していたイさんは、昨年9月からドローンでスズメバチの巣を駆除する方法を本格的に研究しはじめ、今年6月に完成させた。スズメバチ除去用殺虫剤の噴霧器を装着したドローンをスズメバチの巣に接近させ、殺虫剤を噴射するというもの。スズメバチの巣に向かって殺虫剤を正確かつ強力に噴射するために、噴霧器の口に長さ1メートルの管を取り付けた。スズメバチの巣から50メートル以上離れた場所でリモコンのモニターを見ながらドローンを操作して殺虫剤を噴射するため、きつくも危なくもない。作業時間も普通は10分以下だ。

 スズメバチの巣の駆除は消防救助隊員の重要な業務だ。毎年数千人がスズメバチに刺され、消防に救助される。2020年4947人、2021年4872人、2022年6935人。今年も先月末までに1681人がスズメバチに刺され、救助された。スズメバチに刺されて死亡した人も昨年だけで11人にのぼる。今年も先月末までに3人がスズメバチに刺されて命を落とした。スズメバチの巣の駆除のための出動件数は2020年13万6438件、2021年19万5317件、2022年10万6287件で、今年は先月末までに7万1562件に達している。

 イさんは「すでにすべての消防署がドローンを救助活動に使用しているため、スズメバチの巣の駆除にドローンを利用することには大きな困難はないと思う」と話した。

チェ・サンウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )



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