ウクライナ企業がランセット・キャッチャーの量産を始める

ロシアの徘徊型弾薬対策、ウクライナ企業がランセット・キャッチャーの量産を開始

ロシアは戦場で効果的な徘徊型弾薬「Lancet」の生産量を大幅に増やしたとの情報がありますが、ウクライナ企業のメトインヴェストは1日、「徘徊型弾薬から装備を守るランセット・キャッチャーの量産と供給を開始した」と発表しました。

ランセット・キャッチャーは移動中の装備を保護することはできません

2019年に露ZALA(カラシニコフ・コンサーン傘下)が発表した「Lancet」は徘徊型弾薬「KUB-BLA」を改良したものです。米国製のSwitchblade600(重量22.7kg)と比較して、Lancet-3(最大重量12kg/弾頭重量3kg/滞空性能40分/航続距離40km)は小型ですが、攻撃効果を高めた能力拡張型(Izdeliye51:最大重量14kg以上/弾頭重量5kg/滞空性能60分/航続距離70km)は弾頭重量が増加しており、徘徊型弾薬による交戦は100回以上確認されています

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出典:Kriegsforscher

ロシア軍は少なくともLancetとKUB-BLAを使用して、ウクライナ軍の戦車11輌、装甲戦闘車輌8輌、榴弾砲24門、自走砲25輌、多連装ロケットシステム4輌、地対空ミサイル8基、レーダー12基、通信機器2基、各種支援車両11輌、艦艇3隻を破壊しました。車両や榴弾砲、自走砲に対する攻撃は、3月以降も増加傾向にあります。特筆すべきは、LancetによってIRIS-T SLMのレーダーが損傷したことです。

ロシアはLancetの生産量を増やしたという情報が出回っていますが、回収された残骸からは、「構成部品が西側諸国からロシアに流れ込んでいる」との証拠があります。依然としてロシアは必要な部品を供給し続けているため、Lancetによる攻撃の減少の兆しはありません。ウクライナ軍は被害を防ぐために即席のメタルネットによる装備保護に乗り出しています。

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出典:Метінвест

今年1月、メタルネットに引っかかったLancetの残骸が発見されました。ウクライナ側は「メタルネットを正しく設置すれば、徘徊型弾薬から榴弾砲や自走砲を保護できることが判明しました」と主張していましたが、現地企業のメトインヴェストは1日、「徘徊型弾薬から装備を守るランセット・キャッチャーの量産と供給を開始した」と発表しました。

ウクライナ軍と共同開発したランセット・キャッチャー(全長10m×幅5m×高さ5m/鋼鉄製で重量は約1トン)は、ほとんどの陸上装備を保護することができます。メトインヴェストは、「前線で迅速に組み立てたり解体したりすることも可能で、メンテナンス性にも優れています。すでに32基のランセット・キャッチャーを無償で軍に提供し、1週間で最大5基のランセット・キャッチャーを生産しています」と述べています。もし前線で広まれば、Lancetや自爆型ドローンの被害も減少するかもしれません。

なお、メトインヴェストは8月25日に「敵の精密弾薬を浪費させるのに役立つ精巧なダミーを250個以上も軍に提供した」と発表しています。

まとめ

ロシア軍のサンシェードが教訓を生かし、新たに爆発反応装甲を装備
ウクライナ軍はメタルネットによる保護装備で徘徊型弾薬の攻撃を防げる
ウクライナ軍のIRIS-T SLM、ロシア軍の徘徊型弾薬によりレーダーが損傷
ロシア軍の徘徊型弾薬が戦場で効果を証明し、攻撃ヘリの代替手段として活用される

※アイキャッチ画像の出典:Метіンвェスト

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