ポーランド外務省、ゼレンスキー大統領の発言は支援国に対して不当で失礼

ポーランド外務省は、ウクライナのゼレンスキー大統領が国連総会での演説で「欧州の一部がロシアの食料武器化を手助けしている」と発言したことに対し、不当で失礼だと抗議しました。

ゼレンスキー大統領のテーゼは虚偽であり、ウクライナを戦争初期から支援してきた国に対して不当で失礼な発言だ

ゼレンスキー大統領は国連総会の演説で、「欧州の一部の人々が政治的な舞台で(我々との)連帯を演じ、穀物からスリラーを作っているのを見るのは憂慮すべきことだ。彼は自分達の役割を演じているように見えるかもしれないが、実際にはモスクワの役者のために舞台を用意する手助けをしているのだ」と発言しました。これは、ポーランド、ハンガリー、スロバキアがロシアの食料を武器化する手助けをしているという意味です。

PRESIDENT OF UKRAINE
出典:PRESIDENT OF UKRAINE

ポーランド政府の報道官は、「ゼレンスキー大統領の言葉がポーランドを指していないことを望む」と述べましたが、ポーランドのドゥダ大統領は「ウクライナを支援している人々に、このような言葉を浴びせるのは本当に悲しい」と述べ、ウクライナにポーランドの穀物市場解放を要求する権利はないと主張しました。

ドゥダ大統領は、「私たちは安全保障上の計算からウクライナを生き残らせたかった。ポーランドを含むNATO加盟国の支援がなければウクライナは1年以上前に崩壊していただろう。我々はウクライナに300輌以上の戦車、1,000輌以上の装甲兵員輸送車、さらにクラブキャノン(ポーランド製の自走砲)も送った。我々の支援はロシアと戦うウクライナの大きな助けになったが、穀物問題に関しては我々の農民の利益が掛かっている」と述べました。

Gerrit Burow / CC BY 2.0
出典:Gerrit Burow / CC BY 2.0

さらにポーランド外務省は、ウクライナ大使を召喚して抗議し、「ゼレンスキー大統領のテーゼは虚偽であり、ウクライナを戦争初期から支援してきた国に対して不当で失礼な発言だ」と主張しました。ポーランドのモラヴィエツキ首相も、「我々の農民の利益を無視し、ウクライナのオリガルヒがポーランド市場に穀物をねじ込むとするようになったのは本当に残念だ。ドゥダ大統領が述べた言葉(溺れた人間のようにウクライナは振る舞っている)は的を得ている」と指摘しました。ゼレンスキー大統領の発言はポーランド側の印象を悪化させただけのように見えます。

Serwis Rzeczypospolitej Polskiej
出典:Serwis Rzeczypospolitej Polskiej

EU問題担当相を務めるシモン・シンコフスキ氏は、「ウクライナのとった行動は我々にとって印象に残るものではないが、ポーランド世論には一定の印象を与えている。これは世論調査やウクライナ支援継続を支持する世論レベルを見ればわかる話で、ウクライナのとった行動はウクライナ自身に悪影響を及ぼしている」と述べました。ポーランドメディアのwPolyceには「ウクライナの態度」という記事カテゴリーが登場したそうです。

wPolyce.pl
出典:wPolyce.pl

モラヴィエツキ首相はさらに、「ポーランドは今後もウクライナに軍事的な支援を行うのか?」との質問に「自身の軍事力を強化するためウクライナへの装備提供を現在は行っていない」と答えました。

以上がポーランド外務省とポーランド政府の反応です。ポーランドとウクライナの関係が悪化していることが分かります。今後の展開に注目です。

※アイキャッチ画像の出典:PRESIDENT OF UKRAINE

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