米下院、ウクライナ支援資金を除外してつなぎ予算を可決

アメリカの政府機関閉鎖を回避するために、民主党と共和党はギリギリの調整を続けていました。そしてついに、30日に「つなぎ予算」が可決されましたが、民主党は共和党の支持を得るために「ウクライナ支援資金」をつなぎ予算から外してしまいました。

ウクライナ支援継続の山場は11月中旬?

アメリカでは予算が期限内に成立することはほぼありません。議会は「つなぎ予算」を使って連邦政府機関の閉鎖を回避しつつ、本予算の審議時間を稼ぐのが一般的です。今年はつなぎ予算(45日分)の承認で民主党と共和党が対立しましたが、下院はさまざまな譲歩を経てつなぎ予算を可決しました。これが上院でも可決されれば連邦政府機関の閉鎖は回避できる見込みです。

しかし、民主党が共和党の支持を得るためにウクライナ支援資金(60億ドル)をつなぎ予算から外したことで、「追加支援を議会で訴えたゼレンスキー大統領への打撃になる」と報じられています。

国防総省はウクライナ支援の資金が9月末までに底をつくと予想していましたが、実際には米軍備蓄から持ち出された装備の価値が過大評価されていたため、計62億ドルの資金が返還されました。そのため、若干の余裕が生まれたものの、10月以降で支援資金が尽きることは目に見えており、バイデン政権は8月に計400億ドルの追加資金を要請しています。

支援資金の大まかな内訳は、ウクライナへの軍事援助が131億ドル、戦争の影響を受けた国々への経済・人道支援が73億ドル、発展途上国への支援が10億ドル、ワグナーに抵抗するアフリカ諸国への支援が2億ドル、災害援助基金の資金補充が120億ドル、麻薬の流入抑制や国境警備の強化、消防士の給与引き上げなどが含まれます。ただし、ウクライナへの軍事援助の中には米軍在庫の埋め戻しのための95億ドルが含まれているため、実質的な軍事援助額は36億ドルに過ぎません。

米政府の高官は、「これが認められれば軍事支援を第1四半期末まで継続できる」と述べています。つまり、返還された62億ドルと要請した36億ドルで支援を継続できるのは「年末まで」ということです。

ウクライナのマルカロワ駐米大使は、「ウクライナ支援の資金確保に遅延や困難が生じる可能性に備えて、ウクライナ・レンドリース法の1年延長に取り組んでいる」と明かしています。ただし、延長に関する動きは観測されていないため、「9月30日」に期限切れとなる可能性が高く、バイデン政権のウクライナ支援は議会承認を必要とする手段だけになるのです。次回のつなぎ予算までに共和党の支持を取り付けないと、本当にバイデン政権のウクライナ支援資金は底をつく可能性があります。

アメリカの予算成立は通常、「年末もしくは年始」になりますが、今回のつなぎ予算が期限切れを迎える11月中旬が「ウクライナ支援継続」の山場になるかもしれません。

バイデン政権は、ウクライナ関連を含む計400億ドルの追加資金を議会に要求しています。また、ウクライナ側は延長を求めるために一度も使用されなかったウクライナ・レンドリース法に取り組んでいます。

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記事の出典リンク:日本ニュース24時間