政府は2日、パブリックコメント(意見公募)に寄せられた圧倒的多数の賛成を背景に、ホワイト国から韓国を除外する手続きを粛々と進めた。韓国側は、安全保障上の機密情報共有を可能にする軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄も示唆して翻意を迫ったが、いわゆる徴用工訴訟で国際法に違反する状態を続ける以上、日本側も関係改善を急がずに「戦略的放置」を貫く。日韓関係は早期の修復が困難な情勢だ。
「輸出管理制度や運用に不十分な点があることを踏まえた運用の見直しだ。日韓関係に影響を与えることは意図しておらず、ましてや対抗措置ではない」
菅氏は2日の記者会見で、今回の措置が「経済報復」との見方を否定した。
韓国には安全保障に関係する一部品目の輸出管理の優遇がなくなるが、日韓の貿易全般に劇的な影響が及ぶわけではない。にもかかわらず、韓国側が反発していることに、外務省幹部は「通常の手続きに戻すだけなのに禁輸のように騒いでいる」と首をひねる。
政府内には、文在寅政権が支持率アップのためにあえて「反日」をあおっているとの見方がある。政府関係者は2日、韓国で来春、国会議員の総選挙が控えていることを指摘し「結局、そこなんだ。どうしようもない」と肩をすくめた。
韓国の康京和外相は1日、タイの首都バンコクで河野太郎外相と会談した際、24日に更新期限を迎えるGSOMIAに影響を与えることも示唆した。
こうした揺さぶりに対し、菅氏は「連携すべき課題はしっかり連携していくことが重要だ」と淡々と語った。政局と絡めた動きに呼応せず、北朝鮮のミサイル発射など安保上の課題には両国で連携する-。日本側のメッセージがどこまで韓国側に響くかは不透明だ。(原川貴郎)