給付も減税も 公明、衆院選へ危機感

公明党の山口那津男代表

公明党は、経済対策に関する政府への提言で、低所得世帯への給付金支給だけでなく、中間層向けの所得税減税にも取り組むことを発表しました。低所得者に早急かつ確実に届く給付金は、公明党の弱者保護に対する姿勢と一致しています。しかし、自民党幹部が減税に言及し始めたことで、公明党も減税議論に参加することになりました。この動きの背後には、次期衆院選で勢いを増す日本維新の会との全面対決に向けた危機感も存在しています。

給付金と減税、どちらが適切なのか?

公明党の山口那津男代表は、10日の記者会見で、現金給付の必要性を訴えました。「給付金と減税、どちらか片方を選ぶのではなく、両方を組み合わせる考えもある」と述べましたが、党内では「減税は税法などの法制度を変えるため時間がかかる」という意見も根強くありました。

公明党はこれまで、生活弱者や非課税世帯などに直接支援が届く給付金を重視してきました。しかし、経済対策の策定に際し、岸田文雄首相が「税収増の国民への還元」という言葉を使ったことから、自民党内で減税論が相次ぎ、公明党もこれに同調する形になりました。減税ならば、防衛費の財源として増税を想定するなど、政府・与党の「増税」イメージを払拭する効果もあります。

公明党の焦りと危機感

公明党が「国民還元策」と銘打って打ち出したのは、自民党に先行された減税議論への焦りも大きいでしょう。さらに、次期衆院選では公明党が現職の多い大阪や兵庫の6選挙区で日本維新の会との対決が予想されています。党の高齢化により集票力が低下していることも事実であり、公明党内には「かつてない危機感」が広がっています。

公明党幹部は「減税が実現しなければ、肩透かしを食らうことになるでしょう」と述べ、経済対策の行方や首相がいつ衆院解散・総選挙を行うかを注視しています。

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