日本ニュース24時間
福島第一原発の処理水放出が日中関係に暗い影を落とす中、「ほぼ唯一といっていい中国世論」(日中関係筋)から、これまでの報道では見えにくかった中国人の本音が見えてきた。日本の民間団体「言論NPO」と中国の「中国国際伝播集団」が8月から9月にかけて、日本と中国で行った世論調査結果をもとに、意外な事実が明らかになったのだ。
処理水問題が「日中関係の障害」はわずか5.8%
まず、処理水に対する両国民の認識の差が如実に示された。日本では、36.7%の人が「処理水放出問題」が日中関係の発展を妨げるものと考えている一方、中国ではその割合が5.8%にとどまる結果となった。これは驚くべきことであり、中国人は日本人に比べて処理水問題を深刻に受け止めていないことがわかる。
また、処理水問題を巡る中国人からの迷惑電話は、自分のSNSの閲覧数を増やすために行ったり、情報を面白半分で探したりするなど、軽視しているケースも多いのだとか。さらに、中国の国慶節に多くの中国人観光客が日本を訪れ、日本ビザの申請数も微減にとどまったことから考えると、反日感情が盛り上がっているわけではないと言えるだろう。
工藤泰志代表は、「逆にこの騒動は日本の国民の反中感情だけを悪化させた」と指摘している。このような現状を受けて、中国人の中にも処理水問題に対して冷静な対応を求める声が広がっていることも明らかになった。
割れる中国人の感情
日本人の対中感情は前年比で増加し、92.2%が「悪い」と答えた。一方、中国人の対日感情は62.9%で、前年とほぼ横ばいであることが分かった。つまり、処理水問題があっても、中国人の対日感情は悪化していないと言えるのだ。
さらに注目すべきなのは、今後の日中関係に対する期待や予測である。日本人の4.2%が「良くなる」と答えたのに対し、中国人では31.6%が「良くなる」と答えたのだ。中国政府が日本の対応を批判し続ける中でも、日本の良さを理解し、訪れる中国人の姿勢が浮かび上がるのは興味深い。
日本に好印象を持つ中国人は少なくありません。10年前に比べて、中国人の良識が飛躍的に増えた印象があります。ただし、一方で今後の日中関係が「悪くなる」と答えた中国人も40.1%いました。悲観的な意見を持つ人々には、反日感情が根強く残っていたり、中国政府の偏った情報を信じているケースもあるようです。
しかし、こうした意見や感情には中国政府による意図的な誘導も介在している可能性があります。日中関係は微妙なバランスの上に成り立っており、中国国内の不満が海外に向けられることも少なくありません。
処理水問題に対しては中国人の中にも冷静な対応を呼びかける声があり、中国紙・環球時報の社説も長く掲載され、多くの人々に読まれたそうです。中国政府は一時期、対日批判を控える方向に舵を切ったと言われています。
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