「子どもを叱るのはもうやめる」と決めた公立小学校 褒める技術磨く先生たち、職員室まで明るくなった #令和の子

喜沢小学校

子どもを褒め、肯定的に接する取り組みが広がっています。埼玉県戸田市にある市立喜沢小学校は、2020年に常識を打ち破る新しいアプローチを始めました。先生たちは子どもたちを叱らずに、常にポジティブな態度で接するように心掛けています。そして、子どもたちが望ましい行動を取った場合には、積極的に褒めます。それだけでなく、先生同士も日常的に互いを褒め合っています。ある先生はたった45分の授業で55回も褒めたと言います。驚くべきことですね。

このアプローチは、アメリカから始まった取り組みですが、初めて聞いたときは素晴らしいと感じました。ただ、「きれい事」に聞こえないかとも思っていました。「時には叱ることも必要では?」という疑問も湧いてきます。しかし、実際に現地を訪れると、先生たちの笑顔が職員室に広がっていました。何が起きたのでしょうか?

秘訣は「すぐ」「個に合わせて」「具体的に」

喜沢小学校

喜沢小学校は、戸田市に位置する全校児童約400人の学校です。ある日、6年2組の家庭科の授業が行われました。その授業のテーマは、校内を巡りながら様々な種類の汚れを見つけることでした。男児が床にひざをつき、テレビ台の下に積もったほこりを撮影している姿を見た担任の中村和絵教諭は、すかさず声をかけました。「探偵みたいですね。細かいところに目をつけていて、素晴らしいです」。

先生たちは、褒める際に次の3点を意識しています。

  1. すぐに
  2. 個々の行動や言葉に合わせて
  3. 具体的に

中村教諭の声かけは、確かにこれらのポイントを満たしています。中村教諭が廊下に出ると、ある児童が手洗い場の写真を見せてくれました。「あっ、いいですね。水回りは普段ちゃんと掃除されていないんですよね」と教諭は感心しながら言いました。教諭は校内を巡る間に、約30回も肯定的な言葉を発していたのです。

準備ができている子を褒めることで、そうでない子どもにも波及

実は、中村教諭は今年4月に別の小学校から喜沢小学校に転任してきたばかりでした。それまでは当たり前のように叱られていた経験から、最初は「一番合わない学校に来たのではないか」と思ったそうです。しかし、教壇に立ってみると、子どもたちの自己肯定感の高さに気づきました。「いつも肯定されているからではないか」と感じたのです。

褒めることを意識して過ごすようになると、中村教諭自身も子どもたちを見る目が変わってきました。「以前は『6年生ならこうあるべき』と考え、できないことを叱ってやらせていました。今は、できている面に目を向けるようになりました」と語ります。

中村教諭はまだ気恥ずかしさや照れくささを感じることもあるそうですが、褒めることの意義を実感しつつあります。ある日、中村教諭は6年1組を見学しました。横地真央教諭が担任をしていました。授業の2時間目が始まると、教諭はクラス全員に向かってこう声をかけました。「言われなくても、授業の準備をしていますね。すごいですね」。

喜沢小学校では、「次の時間の準備をしてから遊ぼう」という行動が望ましいとされています。しかし、実際には準備ができていない子どももいます。それでも、横地教諭は叱って直すことはせず、準備ができている子どもを褒めることで、そうでない子どもたちにも良い影響を与えることを期待しています。横地教諭は同じような声かけを続けたり、黒板に書いて促したりしていますが、徐々に準備の習慣が定着してきているそうです。

この取り組みは、子どもたちに対する肯定的なアプローチがもたらす効果を示しています。子どもたちは褒められることによって自己肯定感を高め、良い行動を取ることが増えています。喜沢小学校の先生たちは、子どもたちの成長を支えるために、積極的な褒め言葉を重要視しています。

記事の引用元リンク:https://news.yahoo.co.jp/articles/7a56ac620fd0b038bee03bb11b8670fb445565d8

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