「女には無理」と言われた力仕事、急逝した父から継いで…「おいしい能登かきを多くの人に」

能登かき

船がカキの養殖棚に横付けし、かじをスタッフに預けた浅井絢美さん。父の後を引き継いで、「能登かき」を世に広める使命感に燃えています。

年齢に負けずに挑戦する女性社長

下村水産の3代目社長、浅井絢美さんはたった33歳。女性でありながら、力仕事をこなす彼女の姿勢には驚きを禁じ得ません。

カキを手に取り、貝のふたを開けると、つるんとしたクリーム色の身が見えました。浅井さんはスマートフォンで動画を撮りながら、「今はこんな感じ。これからどんどん太っていくのが楽しみ」と解説します。

浅井絢美さん

生育状態を調べるための動画投稿が「いいね」の嵐になりました。ファンからの応援に励まされながら、浅井さんは父の後を継ぐ5度目のシーズンを迎えました。

父の背中を見て育った女性社長

3人姉妹の長女として育った浅井さんは、父が始めた養殖事業を地域有数の規模にまで広げる姿を見て育ちました。「未明から海に出て、カキ作りに打ち込む父が格好良かった」と振り返ります。

しかし、冬場の過酷な力仕事は女性には向かないと思われていました。父も浅井さんたち姉妹には継がせるつもりはなかったのです。

技術者として成功を収めていた浅井さんは、家業の将来を心配していました。30歳を前に、「養殖を覚えたい」と父に切り出しました。父は反対しつつも、休日に手伝うことを許しました。

ところが、その半年後、父は突然亡くなってしまいました。家族には病気のことを黙っていました。辞表を出し、父の後を継ぐ道を選んだ浅井さんには、最初の頃は様々な困難が立ちはだかりました。

挫折を乗り越え、新たな道を歩む

ベテラン社員たちが新たな社長の指揮に反発し、一斉に辞めてしまったことで、取引先も離れてしまいました。しかし、父の友人や同業者たちが彼女の力になってくれました。徐々に新しいスタッフを増やし、経営を立て直したのです。

現在、浅井さんの情熱は「おいしい能登かきを多くの人に届けること」に向かっています。彼女は常に新たな挑戦にも臆せず取り組んでいます。

能登かきの養殖棚

養殖棚でのクロダイによる食害対策として、稚貝をカゴに入れて大きくする方法を試しています。また、夏場の売り上げを確保するために、瓶詰め商品を開発しました。さらには、仲間たちと一緒に能登かきを楽しめるオイスターバーを開く計画も進行中です。

「生食用に安定して出荷するには、浄化装置のある水槽で雑菌を除去する処理が欠かせない」と語る浅井さんは、新しい施設の建設にも力を入れています。

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浅井絢美さんの挑戦を追いかけることで、私たちは彼女の情熱と努力を目の当たりにすることができます。日本ニュース24時間では、様々な分野で活躍する個人や企業のストーリーをお届けしています。

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【記事参考元】
能登かきを世に広める女性社長~「女には無理」と言われた力仕事を父の後を継いで~