人とすれ違う際、新型コロナウイルスの感染リスクは、通過後5秒以内にピークに達するとの研究結果を、筑波大の研究チームが英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に発表した。この研究は、移動時の感染予防における課題を明らかにしています。
研究チームは、主要な感染経路とされるエアロゾル粒子の量の推移から感染リスクを調べました。具体的には、口からエアロゾル粒子を出す装置を着けたマネキンを、歩行、ジョギング、ランニング、スプリントの4つの条件で屋内で動かしました。そして、一定範囲内の粒子の量を計測しました。さらに、換気の有無も比較しました。
その結果、すべての条件で粒子数は5秒以内にピークに達し、その後急速に低下していました。マネキンの動きに伴い、後ろに流れ込むようにしてできた空気の渦が、粒子を拡散させたと考えられます。また、ピーク時の粒子数は、通過速度が速いほど少なかったです。これは、吐く息の多さと渦の速度が速くなることで、拡散が促されたためと推測されます。
さらに、換気した場合は換気なしと比べて、歩行時でピーク時の粒子数が約55％以下となり、通過後10秒以降は計測前近くまで下がっていました。
このような結果から、筑波大の研究チームは、対面通過時の感染リスクを減らすためには、5秒以内に以下のことを行うことが有効だと指摘しています。
- 息を止める
- 1メートル以上距離を取る
- 風上に立つ
筑波大の浅井武・名誉教授（スポーツ工学）は、「安全対策を5秒取れば、リスクは大幅に減少することが分かった。スポーツやイベントなどさまざまな場面で、科学的なエビデンスに基づいて予防策を講じる必要がある」と語っています。
この研究結果は、エアロゾル粒子による感染リスクが明らかになり、対策の重要性が再確認されたものです。私たちは、日常生活で気をつけるべきポイントを押さえることで、感染リスクを減らすことができます。
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