生活保護デモ「たまにはウナギも食べたい」なぜ批判? 20代受給者が語る実態と想い

生存権を求める京都デモ

今月、行われた「生存権を求める京都デモ」が波紋を広げています。生活保護の基準額が段階的に引き下げられていることに対して、受給者や支援者など100人が不満を訴えました。

様々な主張があった中で、物議を醸したのは「たまには旅行に行きたいぞ」「たまにはオシャレもしたいぞ」「たまにはウナギも食べたいぞ」という言葉でした。

生活保護は、「健康で文化的な最低限度の生活を保障するため」の制度です。そのため、SNS上では「旅行に行きたい?それは本当に最低限度なの?」「一生懸命働いていてもウナギなんて食べられない…」などの非難の声が上がりました。一方で、「メディアの見出しの付け方が燃料になっている」「デモの本質は“旅行”でも“ウナギ”でもないのでは?」との指摘もありました。

それでは、なぜ生活保護はたびたび非難されるのでしょうか。『日本ニュース24時間』では、受給者・支援者と議論をしました。

20代受給者に聞く生活保護の実態と想い

生活保護を受給するしかまるさんの収入と支出の内訳

生活保護を受給する20代のしかまるさんは、大学受験に失敗し、ひきこもりになりました。その後、上京しましたが、バイトの面接に全く受からず、日雇いの仕事で生活していました。その後、プログラミングの勉強を始め、知人とIT系の企業を立ち上げましたが、失敗しました。体調とメンタルの面で崩れてしまい、生活保護を受けることになりました。周囲からは「働けるでしょう?」などと言われましたが、働けるかどうかは生活保護の条件には関係ありません。しかし、スムーズに受給することができました。

今回のデモについて、しかまるさんは「生活保護でもウナギを食べることはできるので、わざわざ訴える必要はなかったと思います。若者や生活保護を本当に必要としている人が“受給する”という選択肢を取りにくくなるのではないかと考えています」と述べました。

また、「生活保護はメンタルや身体的な体力がない人たちが利用すべきであり、回復した後に働きたいと思ったら、働くことが良いと思います。最初は負い目もありましたが、次第になくなりました」とも話しました。

しかまるさんは2021年度から受給を始めたとのことで、収入や支出の内訳を見ていきましょう。収入は夏季(4〜10月)の保護費が7万6420円、冬季(11〜3月)が7万9050円です。さらに、YouTubeなどの配信による収入は約8000円です。一方、食費は1日約700円、月約2万1000円で、通信費は3300円、光熱費は約5000円です。この内訳には国が負担する家賃や水道代は含まれていません。収入から支出を差し引くと、余った分は貯金に回しているそうです。

しかまるさんは、「YouTube動画作成のほか、国家資格の勉強もしています。物価が上がったので少し大変ですが、それほど大きな影響はありません。食費も厳しくないですし、ウナギも食べられます。切り詰めたとしても、栄養のある食事は摂ることができると実感しています」と話しました。

基本的には自炊をしているそうですが、「1週間に1度ほど外食することもあります。自炊と同じく、1日700円の範囲内で使っています」と明かしました。「生活保護があって良かったです。もし制度がなかったら、私はここにいないし、生活保護に救われませんでした。メンタルが病んで、体力が落ちている時は、目の前のことしか考えられません。長期的な目線を持つためには、まず体を休めることがとても重要です。それで未来に向かって考えることができるようになるのです」と語りました。

このような状況を考慮すると、「たまにウナギを食べたい」という願いが生活保護の受給者にとっては大切なことなのかもしれません。私たちは彼らの生活実態や想いを理解することで、より良い社会を作っていくことができるでしょう。

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