NHKがこの度、俳優の伊藤沙莉がヒロイン・猪爪寅子を演じる2024年度前期連続テレビ小説（第110作）『虎に翼』の取材会を行いました。同番組の制作統括・尾崎裕和氏が取材に応じ、今作のタイトルに込めた思いや俳優の起用理由などについて語りました。
ヒロイン・猪爪寅子の生涯を描く
本作のモデルは、日本初の女性弁護士で後に裁判官となった三淵嘉子（みぶち・よしこ）さん。日本史上初めて法曹の世界に飛び込んだ一人の女性の実話に基づく骨太なストーリーを追いながら、事件や裁判が見事に解決されていく爽快感を一緒に味わえるリーガルエンターテインメントとして描かれています。脚本は吉田恵里香氏が担当します。
直近の朝ドラは『らんまん』（23年前期）、『ブギウギ』（23年後期）、『おむすび』（24年後期）、『あんぱん』（25年前期）と、タイトルがひらがなやカタカナなどやわらかい印象のものが並ぶ中、今作の『虎に翼』は、違った傾向のタイトルとして発表時から驚きをもって迎えられました。尾崎氏によると、モデルである三淵さんが虎年の中でも最も運気が強いときのお生まれで、いわゆる強い女性になるイメージの年とのことです。タイトルが怖すぎるという意見もあったそうですが、主人公の寅子の一生を生きていく中での強さを表現するタイトルだという思いが込められており、うまくはまったと感じています。
伊藤沙莉の起用理由
本作のヒロインに伊藤を起用した理由の一つとして、実際に三淵さんの笑っているお写真がとても印象的で、伊藤さんもその雰囲気が似ていると感じたことを挙げています。さらに、伊藤さんは唯一無二のお芝居をしてくれるだけでなく、身近にいそうなのにとても魅力的な存在だと述べています。現場でも親しみをもって距離感を感じさせない表現をしてくれる方だと考えており、視聴者の皆さんにもその魅力が伝わることを期待しています。
ジャンルが変化する物語
本作は法律がドラマとして描かれる大きな要素でありながら、半年間にわたって物語にうねりがあると尾崎氏は語っています。最初はファミリードラマやホームドラマのような形でスタートし、その後、主人公の寅子が法律を学ぶ学園ドラマの要素が加わります。さらに、寅子が弁護士となりお仕事ドラマのような展開を見せていくでしょう。半年間の中でジャンルがどんどん変わっていく構成になっており、視聴者の皆さんにとって楽しめる作品になることを期待しています。
本作では、すでにクランクインが行われ、寅子の家族のシーンなどのスタジオ撮影も始まっています。寅子の幼少時代は描かれず、女学校卒業前後の17歳頃から物語がスタートします。寅子の母・はるを石田ゆり子さん、父・直言を岡部たかしさんが演じます。
石田ゆり子さんは、作家の吉田恵里香さんの提案で起用されました。とても自立した女性のイメージがあり、朝ドラのお母さんとして新たな魅力を発揮してくれるでしょう。一方、岡部たかしさんは、吉田氏が手掛けたドラマ『ブラックシンデレラ』（ABEMA）で父親役を演じた経験があります。今回の役柄はお調子者ながらも娘思いなお父さんであり、コミカルに楽しくそしてきちんと娘思いの一面を表現してくれる方としてオファーされたそうです。
実際の撮影でも、石田さんの凛とした部分や優しさ、そして岡部さんのおちゃらけた一面と同時に家族愛を感じさせる演技に手応えを感じているとのことです。
『虎に翼』は法律をテーマにした作品ですが、それだけでなく様々な要素を取り入れた作品として注目されています。2024年度前期の放送開始を楽しみに待ちましょう。
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