北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記は、2025年9月2日に列車で中国・北京市に到着しました。これは、翌3日に開催される「抗日戦争勝利80年」記念軍事パレードに出席するためと見られています。韓国の中央日報によると、金総書記は北京駅からの移動に、北朝鮮から持ち込まれたメルセデス・ベンツの最高級車「マイバッハ」を使用しました。
金正恩総書記、北京に到着 – 抗日戦争勝利80年記念式典へ
金正恩総書記の中国訪問は、地域の地政学的な動きに注目が集まる中での出来事です。特に、中朝間の伝統的な友好関係と、対米関係における両国の連携が改めて示唆される形となりました。記念軍事パレードへの出席は、歴史的な節目を祝うと共に、国際社会に対する強いメッセージを発する機会と捉えられています。
注目される「7・271953」ナンバープレートの意味
ロイター通信が公開した写真からは、金総書記が乗車したとされる車両のナンバープレートに「7・271953」という数字が読み取れます。この数字は、朝鮮戦争の休戦協定が締結された1953年7月27日にちなんだものとみられます。北朝鮮ではこの日を、米国側に勝利した「戦勝記念日」として公式に位置づけています。
朝鮮戦争において、中国の義勇軍は北朝鮮側で参戦し、多大な犠牲を払いながら戦いました。韓国メディアは、金総書記が今回の訪中に際してこの特別なナンバープレートを使用することは、中国との歴史的連帯を強調しつつ、同時に明確な反米姿勢を国際社会に示そうとする意図があると分析しています。この象徴的な行為は、単なる移動手段に留まらず、金総書記の外交的なメッセージの一部として機能していると言えるでしょう。
過去には、ロシアのプーチン大統領が2024年6月に金総書記と会談した際に贈呈したロシア製最高級車「アウルス」にも、同様の「7・271953」ナンバーが用いられていたことが確認されています。これは、北朝鮮が反米メッセージを継続的に発信し、それを同盟国との関係強化の象徴として利用していることを裏付けるものです。
中国・北京での金正恩総書記の訪問時に捉えられた、ナンバープレート「7・271953」を付けた高級ベンツ車列。北朝鮮の反米姿勢を示すとみられる。
結論
金正恩総書記の北京訪問と、彼の乗るメルセデス・ベンツの「7・271953」ナンバープレートは、単なる移動の事実を超え、北朝鮮が持つ根深い反米意識と、中朝露間の連携を国際社会に強くアピールする政治的なメッセージとして解釈されます。この訪問は、今後の東アジア情勢における各国の力学に影響を与える可能性を秘めており、引き続きその動向が注目されます。
参考文献
- 中央日報 (韓国)
- ロイター通信 (Reuters)
- 毎日新聞 (Mainichi Shimbun)