なんという図々しさでしょう。長野県諏訪市のレンタカー店を訪れた男性が、当日返却の約束をした高級車を借りたまま姿を消しました。そして、延べ約1,000キロもの道程を走った後、大分県のどこかで大破した姿で車が見つかったのです。男性はそのまま別の車に乗り換えて逃げたとみられており、レンタカー店は男性を横領罪で警察に通報しました。
この事件を受けて、私たちは被害者の言い分を取材しました。以下にその内容をご紹介いたします。
男性の言い分
男性は自らの過失を認め、開き直るような言葉を口にしました。彼によれば、最初からレンタカー店を騙すつもりで車を借りたわけではなかったとのことです。店の責任者が「最初からだますつもりだったのなら見抜きようがない」と悔しがる中、男性はその言葉に反論します。
借りた車は高級スポーツカー
被害を受けたのは、BMW社の黄色いスポーツカーです。この車はボタン操作でオープンカーにもなり、新車価格は500万円からとのことです。
男性は9月17日の午後、車を借りるためにレンタカー店を訪れました。彼が提示した免許証には、大阪府内に住む20歳と記載されていました。当時の彼の服装は黒い服に帽子を深く被り、化粧をしていたとのことで、店のスタッフは彼の印象に違和感を覚えたそうです。
しかし、男性は観光客だと思われることを望んでおり、山間部のビーナスラインや諏訪湖周辺のドライブを楽しむために車を借りたのです。レンタルはJR上諏訪駅に隣接する駐車場で手続きが行われました。
はたして男性の目的は？
契約では車は5時間後に返却することになっていましたが、男性は約束の時間を過ぎてから店に連絡をしました。彼は「母が倒れて病院に運ばれたので、車で向かいたい。延長利用させてほしい」と言いました。
店側は一時的に返答を保留し、車に搭載されている位置情報を確認しました。すると、男性は長野県飯田市付近にいることが判明しました。店は彼の要望に応えて3日間の延長を許可しました。
しかし、位置情報を追跡すると、男性は観光地を巡っていたことが分かりました。翌日の18日には大阪市を訪れ、午後には滋賀県の琵琶湖周辺へと向かいました。19日には神戸市の有馬温泉や奈良市の興福寺、大阪城などにも立ち寄っていたことが判明したのです。
店側は男性に連絡を取ろうと何度も試みましたが、彼は一切電話に出ませんでした。返却期限の20日には、男性からの連絡が携帯電話のSMSで届きました。「今病院にいるため電話に出ることができない。さらに延長を希望する」とのメッセージが送られてきたのです。
男性が代車を借りた理由
店側は男性の要求を断りましたが、彼は車を返さずにそのまま姿を消してしまいました。そして、6日後の23日に車の位置情報は大分県宇佐市で動かなくなっていることが判明しました。この間、男性が長野県から延べ1,000キロ以上も走っていたことになります。
車はレッカー会社の敷地内に保管されていることが判明しました。調査の結果、男性は事故の後「レッカー代を払いに行く」と言い、そのまま代車としてベンツ社の車を借りて逃げたのだと判明しました。
責任者はレンタカー店の経緯を聞いたレッカー会社に連絡し、彼らも男性の行方を追い、同日の夕方に福岡県内で彼を発見し、車を回収しました。その後、男性は福岡県警察に事情聴取されたとのことです。
レンタカー店の責任者によれば、男性から謝罪の電話がありました。しかし、「最初からだますつもりだったってことだな」と責任者が問い詰めると、男性は「そうなりますね」と答えたというのです。彼は11万円の費用を支払うことを約束しましたが、その後も支払いはされず、再び連絡が途絶えてしまったそうです。
この事件を受けて、レンタカー店では今後の対策を検討することになりそうです。
※この記事は、 日本ニュース24時間 のオリジナル記事をもとにしています。
ソースリンク：朝日新聞社
