移民問題、バイデン大統領に逆風 「聖域都市」NYも悲鳴

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米大統領選まで1年を切り、再選を目指すバイデン大統領にとって、移民問題が大きな逆風となっています。受け入れに寛容な「聖域都市」の一つである東部ニューヨーク市でも、市が壊れると悲鳴を上げ、市民からはトランプ前大統領の復活を願う声も聞かれます。

ニューヨーク市の移民問題

ペルーからの移民である同市在住の40代男性は、「次はトランプ氏に投票する」と話しています。彼は増え続ける移民が市の財政と治安を悪化させていると憤りを隠しません。「彼らは市民ですら住めないマンハッタンの一等地に暮らしています。物価も上がっているのに、こんな状態はおかしい」と述べています。

昨年春以降、中南米などから亡命目的でメキシコ国境を越えて入国した不法移民がニューヨーク市に殺到しました。その数は既に13万人を超え、市はコロナ禍で廃業したマンハッタン中心部のホテルなどを一時滞在用シェルターに変えて対応しています。

しかし、急増に収容が追いつかず、今年夏には多くの人がホテル前の路上で生活を強いられる事態となりました。滞在費や食費、親と共に越境してきた子供の教育費が財政に重くのしかかり、アダムズ市長は9月に移民危機が「市を破壊する」と訴え、バイデン政権に対応の強化を求めました。

バイデン政権の対応

税関・国境警備局(CBP)によると、2022年10月から23年9月にかけてメキシコ国境で拘束された越境者数は247万人を超え、過去最多を記録しました。バイデン政権に圧力をかけるため、テキサス州などメキシコと接する地域ではバスを手配して聖域都市に移民を送り込んでいます。

一方で、バイデン政権は10月に、トランプ前政権が進めたメキシコ国境の「壁」建設の継続を認める決定を下しました。バイデン大統領は就任初日に建設中止を宣言していましたが、不満の鬱積に苦渋の決断を迫られた形です。

一部では、トランプ氏は「バイデンは、記録的な数の不法滞在者が押し寄せることを許した」と主張しています。彼は移民の主要な動機を断つため、不法移民の子供への市民権付与を制限する大統領令に署名する方針を表明しており、米国民の不満の受け皿となりそうです。

【参考リンク】
日本ニュース24時間