中村獅童(51)が、12月3日から26日まで東京・歌舞伎座で行われる「十二月大歌舞伎」の取材会を都内で開いた。この舞台で初お目見得することになる次男・夏幹(なつき)くん(3)について、獅童はこれまで明かされていなかった情報を公表した。夏幹くんは生まれつき両手の薬指と小指がくっついた状態で生まれていたが、これについて獅童は病名は明かさなかったものの、2度の手術を受けて骨を切り離し、形を整えたと話した。
現在の夏幹くんの状態は「両指の小指がない状態」ということだ。獅童はこの情報を公表した理由について、「同じ境遇の人にとっての光の存在になりたい」と語った。
会見中、言葉が詰まり、声を震わせる瞬間もあった獅童。夏幹くんが生まれた日にこの状態が分かったと明かし、「今は強くなることばかりを話していますが、これからどんな人生を歩んでいくのかと思った時に泣きました。子供を産んだのは妻ですから、妻が泣いている時に僕が泣いちゃいけないと思いました。だから、泣いていません。毎日、彼を見ていると、僕たちが泣いている場合ではないと思います。」と述べた。
獅童はさらに、「人生はいつも上手くいくわけではない。夏幹くんはこれから自分にしか分からない悲しみを味わうかもしれない。でも、それは役者にとって最大の武器でもある。人の痛みが理解できる、個性的で強力なライバルが現れたと思う。中村獅童という名前をまだまだ広めたくない。」とも語った。
12月の舞台「超歌舞伎 Powered by NTT」は、NTTの技術を活用した作品で、京都など各地で披露されてきた。今回が歌舞伎座での上演は初めてとなる。獅童は「これまでの集大成をみせたい」と意気込んでいるが、この作品は歌舞伎座では珍しい演目であり、賛否両論があるかもしれないと述べた。それでも獅童は、「それが自分の生き方だから、これを貫きたいと思っている。」と力強く語った。
「今昔饗宴千本桜」は三部制の第一部で上演される。この作品は歌舞伎の名作「義経千本桜」と、バーチャル・シンガーの初音ミクの代表曲「千本桜」の世界観を組み合わせたものであり、「超歌舞伎 Powered by NTT」シリーズの一環として制作された。初音ミクも舞台に登場し、客席も舞台と一体となるイベントも行われる予定だ。獅童は初音ミクとの舞台について、「これまでにない風景を歌舞伎座に作りたい。普通の舞台にするわけにはいかない。ペンライトを振って、お客様と一体になりたい。それが意味のあることだと思っています。」とコメントした。
この舞台で夏幹くんは、佐藤四郎兵衛忠信役を務める獅童と、兄である陽喜(はるき)くん(5)と一緒に舞台に立つことになる。獅童は2015年に沙織さんと結婚し、17年に長男、20年に夏幹くんが誕生していた。