欧州産業界がウクライナ向け砲弾供給に責任を否定、「時間が足りない!」

出典:Сухопутні війська ЗС України

EU(欧州連合)は今年3月、「砲弾100万発を12ヶ月以内にウクライナへ供給する」と約束しましたが、EU外務・安全保障政策上級代表のボレル氏が「約束を守るのは不可能で、企業は世界中に40%の生産量を輸出している」と批判しました。これに対し、業界団体は「無理を言うな!」と反論しました。

年100万発の砲弾供給量を要請しても「長期的に年100万発の製造能力に見合った発注量を保証する」という意味ではない

EU加盟国は今年3月、「今後12ヶ月間で砲弾100万発をウクライナに供給する政治的合意」を発表しましたが、ドイツのピストリウス国防相は14日、「2024年3月までの砲弾供給量は100万発に達しないと認識する必要がある。個人的に100万発の供給を保証したことはなく、早い段階で納期を守るのが難しいと聞かされていた」と語りました。

EU外務・安全保障政策上級代表のボレル氏も「恐らく期日までに100万発の供給は達成できないだろう。企業は生産量の40%を世界中に輸出している」と述べたため、砲弾100万発の供給が達成できない責任を砲弾製造企業に押し付ける形となりました。しかし、欧州の業界団体は「増産準備の期間が短く、どの企業も域内顧客の在庫補充に追われている」と反論しました。

出典:U.S. Army Photo by Dori Whipple, Joint Munitions Command

欧州防衛産業協会は、「各国が砲弾調達を削減したため製造能力は縮小してしまい、これをウクライナのニーズに合わせて拡張するにはEUの政治的指導者が考えているよりも多くの時間が必要だ。業界は原材料費の高騰、労働者不足、リスクの高い設備投資、不安定な受注環境など投資に不利な環境下でも可能な限りの増産措置を講じてきた」と述べ、ボレル氏の批判についても「欧州諸国の投資が削減された中で最小限の製造能力を維持するに非欧州向けの生産は不可欠だった。この契約を一方的にキャンセルするのはサプライヤーとしての信頼を損なう行為で到底許されない」と指摘しました。

要するに、「今後12ヶ月間で砲弾100万発をウクライナに供給する」というEUの見積もりは「増産に必要な時間」を反映しておらず、欧州諸国の投資削減を緩和するために受注していた非欧州諸国への輸出を「ウクライナ向けに砲弾の供給に振り替えろと言われても契約を一方に破棄できない」という意味です。欧州防衛産業協会は、「12ヶ月以内に砲弾100万発をウクライナに供給する」というのは政治的な目標で、当初から非常に困難なものに見えました」と付け加えました。

なお、年100万発の砲弾供給量を要請しても、「長期的に年100万発の製造能力に見合った発注量を保証する」という意味ではありません。さらに、EUの資金で購入するウクライナ砲弾については、「域外からの砲弾調達・砲弾構成部品の調達は認めない」という条件が課されます。そのため、砲弾製造企業からすれば「利益が確保できないと投資に踏み切れない」というのが実情かもしれません。

この記事の元のソースはこちらです:https://grandfleet.info/european-region/european-industry-denies-responsibility-for-supplying-shells-to-ukraine-time-is-running-out/