「命がけでメキシコ貨物列車に飛び乗る移民たち」- 米国境へ急げ

貨車の上を歩く男性

ごう音を立てて北へと向かう貨物列車に、数千人もの移民が危険を承知で乗り込んでいた。米国が厳格な移民政策を終了するのに合わせて、いち早く国境にたどり着こうと焦る人々だ。

移民たちの急増

活動家や当局者によれば、2023年5月にかけての数週間は1日数百人が貨物列車に「便乗」した。列車はメキシコシティの北にあるウエウエトカの町のゴミ集積場所に短時間停車した後、再び出発するが、このときに車両に乗り込む人が多いという。

米国で、新型コロナウイルスの感染拡大防止を理由に2020年に導入されていた不法移民を即時送還できる措置「タイトル42」が5月11日に失効するのを前に、人の流れは一段と激しくなっていた。

ベネズエラ出身者を中心とする移民たちが通称「エル・バスレロ(ごみ捨て場)」で貨車によじ登り、米国国境への旅を続ける

米当局は、タイトル42終了に伴う越境者の急増を見込んでいた。ただでさえ記録的な水準に達している不法入国者に手一杯の状態にある米国の関連当局は、一層の圧力にさらされることになる。

移民たちの覚悟

移民の多くは、移民規制がどう改定されるかの見通しが立たなくても、できるだけ早く国境に到着したいと先を急いだ。

列車で移動する移民たち

ウエウエトカの線路の脇で、灼熱の日差しの下で何時間も列車を待っていたベネズエラ出身のロマリオ・ソラノさん(23)は、「米国への入国が簡単になるかというと、疑わしいと思う」と語った。「これまでも、移民の増加に応じて対策が厳しくなってきたことは知っている」

ソラノさんは、貨物列車に便乗するのは危険だと分かっていると言った。それでも、バスに乗る金がないのだ、と。

メキシコを縦断する移民たち

列車で移動する移民たち

これまで何年も、中米からの移民希望者は貨物列車に便乗してメキシコを縦断してきた。彼らが貨物列車につけたニックネームは「ラ・ベスティア(野獣)」。振り落とされれば怪我を負い、下手をすれば命を落とすリスクがあるからだ。

移民たちは、犯罪組織の襲撃や夜の寒さ、日中のうだるような暑さにもさらされる。

今年4月ごろの時点で「ラ・ベスティア」に乗る人々の大部分は貧しいベネズエラ出身者で、中には小さな子どもたちを連れた家族もいた。そのほとんどは、米テキサス州エルパソと国境を隔てたシウダー・フアレスという街を目指した。

ソースリンク: 日本ニュース24時間