ハイチの首都ポルトープランスで、救急車から患者を引きずり出して射殺するという恐ろしい事件が発生しました。この事件を受けて、医療援助団体「国境なき医師団(MSF)」は一時的に活動を停止することを発表しました。
武装集団による残忍な攻撃
事件は、トゥージョウ救急センター(Turgeau Emergency Center)の近くで12日に発生しました。2台の救急車がセンターから出発し、その途中で約10人の武装した集団によって道路がふさがれました。そのうちの1台には、重篤な男性患者が乗っていました。
MSFによると、集団は救急車の中を確認した後、2台目の救急車に後退するよう命じました。そして、1台目の救急車から男性患者を引きずり出し、彼を殴打し、至近距離から複数回発砲した後、逃走しました。
MSFの活動一時停止と安全対策
この事件を受けて、MSFはトゥージョウ救急センターの安全性評価が終わるまで、センターを無期限で閉鎖すると発表しました。しかし、他の施設では医療の提供を継続する予定です。
トゥージョウ緊急センターでは、1日に80〜100人の患者を診療していました。しかし、ポルトープランスでは武装ギャングの影響で、複数の医療機関が閉鎖される事態になっています。
ハイチの深刻な治安情勢
国連によると、今年だけでもハイチでは8000人以上が死傷または拉致されており、前年の数を既に超えています。特にポルトープランス首都圏の推定8割の地区が武装ギャングの影響下にあるとされています。
このような深刻な治安情勢の中で、国境なき医師団は困難な状況に立ち向かい、ハイチの人々に医療支援を提供し続けています。