社説】最上級俳優まで悲劇に追いやった薬物波紋=韓国

近年、韓国で薬物問題が大きな波紋を広げています。最近では俳優イ・ソンギュンさんが薬物使用容疑で亡くなり、多くの人々に衝撃を与えた出来事です。イ・ソンギュンさんは映画『パラサイト 半地下の家族』での印象的な演技で世界的に有名な俳優であり、その存在を広めた一人でした。しかし、彼の人生は薬物の影響で絶たれてしまいました。

韓国の薬物問題

韓国では、薬物の知識がないまま騙され、中毒になる人々が増えています。特にソウル江南の学習塾街では、若者が路上で麻薬を試飲する事態が発生しています。俳優ユ・アインさんの起訴により、芸能界にも波紋が広がり、若者の薬物犯罪も増加しています。ソウルと京畿道一帯では、液状大麻の広告が見られます。これに対し、警察当局は強力な対策を取っています。昨年、尹錫悦大統領が薬物との戦争を宣言し、大々的な捜査を行いました。その結果、今年8月までに1万2700人の薬物犯罪者を検挙するなど、前年を上回る成果を上げています。

対策の限界と必要性

しかし、現行の取り締まり体制では薬物の拡散を防ぐには不十分と指摘されています。国内の薬物供給が増え、特に10代から20代の犯罪が急増している状況です。韓国人が中国やベトナムで死刑になるケースも相次いでいます。また、タイやカンボジアなどの海外組織も韓国を活動の拠点とし、国際的な協力が急務となっています。警察や検察、関税庁、海洋警察庁、国家情報院などが薬物犯罪の遮断に取り組んでいますが、検察と警察の間で薬物捜査権を巡る問題が起き、限界が露呈しています。麻薬捜査庁の設立を真剣に検討する必要があります。国境を越えて若者を無差別に狙い、人生を破滅に追いやる麻薬密売組織に対抗するためには、より体系的で強力な対策と予算の投入が必要です。

捜査の手法に反省の余地

イ・ソンギュンさんの悲劇を受けて、警察の捜査手法も見直す必要があります。薬物に関連する疑惑が浮上するだけで、芸能人のイメージに致命的なダメージを与えることがあります。今回の事件では、事実の確認も十分に行われずに容疑が公表されました。最近、警察が召喚した歌手クォン・ジヨンさんも容疑はなく、不起訴となりました。イ・ソンギュンさんの場合も体内から薬物成分は検出されませんでした。有名人の容疑を情報提供に基づいて公表することは適切だったのでしょうか。捜査の原則を再度見直す必要があるでしょう。

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