日本への「核攻撃」世論高める中国 おどろおどろしい動画がSNSで喝采「滅ぼされるべき」とも 門田隆将氏が憂う安倍派崩壊もたらす危機

中国の動画が、日本への核攻撃を支持する世論を高めています。この恐ろしい動画はSNS上で拍手喝采を浴び、一部では「日本を滅ぼすべきだ」とさえ言われています。日本の安倍派の分裂が危機をもたらす中、門田隆将氏がこの問題に懸念を抱いています。

安倍派の危機

安倍派(清和政策研究会)がパーティー券事件で狙い撃ちを受け、内部分裂が噂されるニュースを見て、私はため息をついてしまいます。この事案は、政治資金についての意識の低さや危機感の欠如を露呈していると言えるでしょう。しかし、もっと深刻なのは、親台派や積極財政派が多い清和会の分裂により、日本自体が危険な状況にあることを実感することです。

安倍晋三と岸信夫兄弟は台湾の自由と民主、人権、法治を尊重する政治家でした。彼らは東アジアで同じ価値観を共有する台湾を愛し、台湾人から深く愛されていました。しかし、岸氏が病気で政界を引退し、安倍氏が暗殺されるという悲劇が起きました。

中国は明確に武力行使を辞さない態度を示しており、台湾を守ることは「東アジアの平和」、そして「世界平和」を守ることに他なりません。しかし、安倍氏の死後、清和会は「後継者」の選出もままならず、まさに結束のない集団となりました。この状況を見逃すことのできない政界は、やがて派閥を検察に狙い撃ちされることとなりました。

「日本の存続」にかかわる危機

もしも自民党が親中派ばかりで左翼リベラル政治家によって政権が揺さぶられるようなことがあれば、日本の存続は非常に困難なものとなるでしょう。その理由は、中国にあると言えます。

2023年8月24日の福島第1原発の処理水の海洋放出以降、中国でどのような「動画」が喝采を浴びたのかご存知でしょうか。代表的な2本を紹介しましょう。

1本目の動画は「日本は2つの戦争で中国人民に3,500万人もの死傷者を出した国だ。中国人民は古い因縁と新たな因縁の両方に対して報復する。日本に対して、我々が原則とする『核先制不使用』は適用しない。必ず日本に核兵器を使用する」というものです。

2本目の動画では、「広島や長崎で使用された原爆では日本を消滅させるために420発もの数が必要だが、中国が持つ東風41型の核ミサイルならたった7発で日本を地上から消し去ることができる」と主張されています。

これらの動画では、核ミサイルが爆発し、人々が焼け、溶けて死んでいく恐ろしい光景が描かれています。

これらの動画は拍手を浴び、中国のSNSには小学校での教室風景もアップされ、反響を呼んでいます。

例えば、日本軍の「十の犯罪を挙げなさい」と先生に言われ、生徒たちが誇らしげに日本軍の犯罪を暗唱していく様子が映されています。また、福島処理水の海洋放出に関連して、岸田首相の写真が出され、「数十年後、君たちの子孫は人魚になるかもしれません。作文で日本を批判、批判、再批判しましょう。ペンを武器として持ちましょう」という指導映像もあります。さらに、幼稚園で日本兵に物を投げつける映像や、日本兵の腹を突き刺す訓練など、子供たちの理解力のない頭を「日本への憎悪」で染め上げていく光景が映し出されています。まさに背筋が凍る光景です。

中国の「反日教育」

私は胡耀邦元総書記時代の1980年代から中国を訪れる機会がありました。

中国は日本から学び、技術や理論を吸収しようとしていました。当時、私たちはこんな教育が行われる時代が来るなんて想像もしていませんでした。

しかし、胡耀邦氏の死と「天安門事件(6・4事件)」において大学生たちが一斉に摘発されるという出来事を経て、1990年代から江沢民元総書記の下で「反日教育」が徹底されるようになりました。子供たちは日本への憎悪で洗脳されていったのです。

そして2023年12月13日、中国で知名度の高いインフルエンサーが、「古い因縁を清算するのが私たち世代の使命だ。日本は歴史を歪曲し、侵略戦争をすべて自衛戦争、解放戦争、正義の戦争として美化している。だから戦争で死んだ軍人や靖国神社の戦犯たちは国を守った英雄となっているのだ。われわれは謝罪を待つわけではない。謝罪が役に立つなら、なぜ東風ミサイルが必要なのだ? 彼らが謝罪しても私はそれを受け入れない。私たちは憎しみを手放す立場にはない。なぜアメリカ人は日本人への憎しみを捨てられたのか? なぜなら彼らは自らの手で広島と長崎を焼き払ったからだ。なぜロシア人はドイツ人に対する憎しみを捨てられたのか? それは彼らが自らの手でベルリンの地に赤旗を掲げたからだ。ではわれわれはどうだろうか? 謝罪するも謝罪しないも同じだ。仇敵が謝罪することが重要なのか? いいや! 仇敵は滅ぼされるべきだ。彼らを赦すのは神の仕事であり、私たちの使命は彼らを神のもとに送ることだ。古い因縁を清算することこそが私たち世代の使命なのだ」と主張し、再び拍手を浴びました。

中国では政府の意向に反する主張や動画は許されません。つまり、中国は「日本を核攻撃する」というコンセンサスを作り上げるために進んでいるということです。中国は毛沢東の指令により、紅衛兵や他の革命の戦士たちによって数千万人もの犠牲者を出す迫害を行いました。私たちに必要なのは、現実を直視できずに平和にぬくもり続ける首相ではなく、国民の生命、財産、そして領土を守るため、しっかりと「平和を守る抑止力」を構築できるリーダーなのです。

私は東京地検特捜部の動向を見ながら、これらのことを考えています。

門田隆将(かどた・りゅうしょう) 作家、ジャーナリスト