【ビアリッツ(フランス南西部)=三井美奈】先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)は24日(日本時間25日)、ビアリッツで開幕した。初日の夕食会ではイラン情勢が討議され、「イランに核保有はさせない」「戦争は望まず、地域安定を求める」の2点で一致した。開幕を前に欧州各国首脳は、米中貿易摩擦への懸念を表明した。
議長を務めるマクロン仏大統領は24日、トランプ米大統領と二者会談を行った。北朝鮮やイランへの対応をサミットの課題にあげ、「イランについてわれわれの目的は同じ。核保有させないことだ」と連携を訴えた。仏大統領府によると、トランプ氏はイランとの戦争は望んでおらず、「取引」がしたいとの考えを示した。
初日には、トランプ氏が求めていたロシアのサミット復帰も議題になった。欧州連合(EU)のトゥスク大統領は24日の記者会見で「ロシアを呼ぶことに同意できない」と反対した。ロシアは2014年、ウクライナ領クリミア半島を一方的に併合し、主要8カ国(G8)から排除された。英独仏はウクライナ問題解決をロシア復帰の条件とする立場だ。
米中貿易摩擦をめぐって、マクロン氏は24日、テレビ演説で「貿易戦争は世界中に弊害をもたらす。欧州の成長は特に脆(ぜい)弱(じゃく)だ」と述べ、欧州経済の足かせになるとの見方を示した。ジョンソン英首相も、米中摩擦について「懸念している」と記者団に発言。トゥスク氏も「トランプ氏が関税を政治の道具とするのは危険だ」と批判した。
24日の夕食会では、南米アマゾンの熱帯雨林で続く大規模火災に対し、G7各国が必要な支援を行うことで一致した。25日には、エジプトや南アフリカなどアフリカ大陸5カ国首脳が討議に参加。28日に横浜で開幕するアフリカ開発会議(TICAD)を前に、アフリカ支援策を話し合う。
サミットではこのほか、IT企業を対象にしたデジタル課税や地球環境問題が議題となる。重要課題で米欧の対立が表面化する中、G7がどこまで一致点を見いだせるかが問われる。