来年度から始まる大学入学共通テストに導入される民間の英語資格試験をめぐり、全国高等学校長協会(全高長)は10日、導入の延期を求める要望書を文部科学省に提出した。試験の日程や会場などで未確定な部分が多いほか、受験生の居住地や家庭の経済状況によって受験機会に格差が生じると指摘されているにもかかわらず、十分な対応がなされていないと判断した。
この日、全高長の萩原聡会長らが文科省を訪れ、同省の担当者に要望書を手渡し、民間試験の導入延期と制度の見直しを訴えた。萩原会長によると、担当者は「このまま(導入に向けて)進めていきたい」と応じたという。
民間試験は受験年度の4~12月に2回まで受けることができ、その成績を大学側が合否判定などに活用する仕組みだ。
ただ、民間試験をめぐっては、地域によって試験会場数にばらつきが出るほか、受験料も1回で5800~約2万5千円に上り、地域や経済力の格差で受験機会に差が出る恐れがあるなど問題点が指摘されている。そのため、全高長は7月にも文科省に対し、課題への対応を求めていた。