(ブルームバーグ): ニューヨーク時間17日午前の外国為替市場で、円相場は対ドルで約2カ月半ぶりの1ドル=150円台に下落した。日米の金利差がこれまでの想定ほど縮まらないとの見方を背景に、低金利の円を売って高金利のドルを買う動きが強まっている。
円は対ドルで一時前日比0.3%安の150円08銭と、8月1日以来の安値を付けた。9月中旬に1年超ぶりの139円台を付けた後、10円以上の下落となっている。
ニューヨーク時間午前8時半に発表された9月米小売売上高は広範囲の分野で増加し、市場予想を上回る伸びとなった。これを受け、米国債利回りは年限全般で大幅上昇。スワップ市場では向こう数回の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合における利下げ予想が後退した。
11月と12月の会合で織り込まれている利下げ幅は合計43ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、16日の45bpから縮小。来年1月会合では合計61bpの利下げが織り込まれており、同会合でも利下げが行われるかどうかについて幾分の疑問があることを示している。
バークレイズの外為ストラテジスト、スカイラー・モンゴメリー・コニング氏は「米個人消費の強さを背景にドルが幅広く買われる中、円は圧力を受けている」と指摘。「堅調な米経済指標で利下げの織り込みが後退し、米国債利回りが上昇する中、円はアンダーパフォマーとなっている」と述べた。
米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は14日の講演で、最近の経済データから、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)ほどの緊急性を伴わずに追加利下げに対応できるとの見方を示した。
一方、日本銀行の植田和男総裁は9月の金融政策決定会合後の会見で、円安の修正で利上げの判断に「時間的余裕」ができたと発言。その後、石破茂首相も政策金利の引き上げに慎重な発言をしたため、市場では早期の追加利上げ観測が後退した。
足元の日本経済の状況も引き続き円にとって逆風だ。実質金利は依然マイナス圏にあり、直接投資をはじめ海外への資金流出もなお大きく、貿易収支は赤字が続いている。