イスラエルとハマスの戦争は、ハマスの最高指導者ヤヒヤー・シンワル氏の死により、新たな局面を迎えています。
シンワル氏は、昨年10月のイスラエルへの奇襲攻撃の首謀者とされ、イスラエル軍に追われていました。そして17日、ガザ南部でイスラエル軍との銃撃戦で死亡が確認されました。
この出来事は、中東和平への期待を大きく後退させるものとなりました。
シンワル氏の死と和平への影響
バイデン米大統領をはじめとする西側諸国の指導者たちは、シンワル氏の死が和平交渉の契機になるのではないかと期待を寄せていました。しかし、現実は彼らの予想とは異なる方向へ進んでいます。
レバノンに駐在するある上級外交官は、ロイター通信の取材に対し、「シンワル氏の排除が戦争を終結させる転換点になるという期待は、見当違いだったようだ」と語っています。
エジプトのアブデルアティ外相も、事態の悪化を懸念する声明を発表。「残念ながら、私たちは包括的な地域戦争の瀬戸際にいる」と危機感を募らせています。
シンワル氏とみられる男性。
ハマスとヒズボラの反応
ハマスはシンワル氏の死を受け、声明を発表。「彼の殉教は、ハマスの抵抗と決意をさらに強めるだけだ」と強調し、イスラエルへの徹底抗戦を改めて表明しました。
また、レバノンの親イラン武装組織ヒズボラも、イスラエルとの戦争が新たな段階に入ったと宣言。イランも「抵抗の精神が強化される」と表明しており、これらの発言は、中東情勢のさらなる不安定化を予感させます。
イスラエルの動き
一方、イスラエル軍は18日、ヒズボラのレバノン南部タイベを管轄する司令官を殺害したと発表。イスラエルとヒズボラの緊張も高まっています。
今後の展望
シンワル氏の死は、中東和平への道筋をさらに不透明なものにしました。
ハマスは、人質解放の条件として、ガザでの戦闘停止、イスラエル軍の撤退、捕虜の解放を要求しており、交渉は難航が予想されます。
今後、イスラエルとパレスチナ、そして周辺国を巻き込んだ形で、事態がさらにエスカレートしていく可能性も否定できません。国際社会は、一刻も早い停戦と和平交渉の再開に向けて、あらゆる diplomatic努力を尽くすことが求められています。