愛する親に安心して過ごしてほしい、その気持ちは誰も同じ
愛する親が高齢になり、一人暮らしが心配になることは、多くの人が経験することでしょう。 “そろそろ老人ホームを考えた方がいいのかな?” そう考える方も少なくないのではないでしょうか?
都内在住の田中クミさん(仮名・42歳)も、そんな悩みを抱えていました。 4年前に父親を亡くし、一人暮らしをしている母親のハナコさん(仮名・75歳)のことが、心配でたまりませんでした。
「お母さん、そろそろ老人ホームに入ることを考えない? 一人のままだと心配だし、何かあったらと思うと… 」
クミさんは、離れて暮らす母親を気遣い、老人ホームへの入居を提案しました。 ハナコさんも、娘の気持ちを受け止め、老人ホームでの生活に期待を膨らませます。
現実と理想のギャップ、老人ホームの費用問題
しかし、老人ホーム選びは、簡単なものではありませんでした。 ハナコさんの年金収入では、希望する老人ホームの費用を賄いきれなかったのです。
「仕方ないから、もう少し安い老人ホームが空くまで待っているわ」
ハナコさんは、そう言ってくれましたが、クミさんは、母親にこれ以上心配をかけたくありません。
「これ以上、心配し続けるくらいなら…」
夫婦で話し合い、家族みんなでハナコさんを支えることを決意。 最終的には、ハナコさんの生まれ育った地元で、費用を抑えた老人ホームを見つけることができました。
「これでお母さんも安心して楽しく過ごせるはず…」
クミさんは、胸を撫で下ろしました。 しかし、その安心は、長くは続きませんでした。
衝撃の光景!老人ホームの劣悪な環境
入居して約1ヶ月後、ハナコさんから、弱々しい声で電話がかかってきたのです。
「もう、ダメ…」
クミさんは、仕事を早退し、慌てて新幹線に飛び乗りました。 そして、母のいる老人ホームに駆けつけると、そこには、目を疑うような光景が広がっていました。 そこは、劣悪な環境の老人ホームだったのです。
老人ホームの部屋のイメージ
(写真はイメージです/PIXTA)
老人ホーム選びで後悔しないために
クミさんのように、大切な家族である親の老人ホーム選びで、後悔しないためには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか? 老人ホームの現状や、選び方のポイントについて、ファイナンシャルプランナーの波多勇気氏(波多FP事務所代表)に話を伺いました。
費用面だけでなく、環境面も重視
波多氏によると、老人ホーム選びで最も多い相談は、やはり費用に関することだそうです。 しかし、費用だけに気を取られて、施設の環境やサービス内容をしっかりと確認せずに決めてしまうと、後々後悔することになりかねません。
「老人ホームは、単に生活の場を提供するだけでなく、介護サービスや医療サポート、レクリエーションなど、様々なサービスを提供しています。 そのため、費用面だけでなく、施設の雰囲気やスタッフの対応、レクリエーションの内容など、総合的に判断することが重要です」
見学・体験で入居後の生活をイメージ
老人ホームを選ぶ際には、必ず見学や体験入居を行い、自分の目で施設の状況を確認することが大切です。 その際、施設の清潔さや臭い、食事の内容、スタッフの対応などをチェックしましょう。 また、入居者同士の交流の機会やレクリエーションの内容も確認しておくと、入居後の生活をイメージしやすくなります。
介護のプロの意見も参考に
老人ホーム選びは、人生における大きな決断です。 一人で抱え込まず、家族や親しい友人などに相談したり、地域包括支援センターなどの相談窓口を利用するのも良いでしょう。 専門家の意見を聞くことで、より客観的な視点で判断することができます。
まとめ:親の幸せを願うからこそ、後悔のない選択を
親の老後の生活を支えることは、決して容易ではありません。 しかし、親に安心して暮らしてほしい、幸せに過ごしてほしいと願う気持ちは、誰しも同じです。 老人ホーム選びは、その第一歩。 費用、環境、サービスなど、様々な角度から情報を収集し、後悔のない選択をしてください。