安倍晋三元首相の銃撃事件以降、初の全国規模の総選挙として厳戒態勢の警備が敷かれる中で、政治の中枢が相次いで襲われた。東京・永田町の現場は、早朝から緊迫した空気に包まれた。
首相官邸前では、警備用の鉄柵に突っ込んだとみられる白いワンボックスカーが止まり、国会議事堂付近までの道路数百メートルが一時封鎖された。ワンボックスカーの車内には、多数の電気コードのようなものが確認できた。
車の脇には、車内に積まれていたとみられるカラフルなポリタンクが10個ほど置かれており、警視庁が中身の確認を急いでいる。警察官や消防隊員ら数十人が周辺を慌ただしく動き回っていた。
一方、約600メートル離れた自民党本部前。火炎瓶のようなものが投げつけられたとされ、機動隊の車両は前部が大きくへこみ、ナンバー付近が焦げていた。周辺の道路の通行が規制され、警察官が鑑識作業をしていた。
東京都内の50代男性会社員は、いつも通り周辺を散歩していると、規制線が引かれ、物々しい様子に出くわした。
男性は「何が起きたのかと思った。衆院選のさなかの事件で驚いた。選挙のたびに政治家が狙われる事件が続いていて、日本も物騒になっている」と話した。【山口智、森田采花】