北陸製菓(石川県金沢市)が手掛ける米菓「ビーバー」が破竹の勢いとなっている。
「ビーバー」は1970年に発売開始された揚げあられ。当時開催していた大阪万博のカナダ館で展示されていたビーバー人形の歯と揚げあられ2本並べた形が似ていたことから「ビーバー」と命名された。
開発したのは福富屋製菓。その後、福富屋製菓の菓子製造部門が独立して設立された福屋製菓に引き継がれたものの、福屋製菓は2005年に「ビーバーカレー味」を発売した後、2013年に事業を停止して自己破産してしまった。
北陸製菓は2014年に「ビーバー」を承継。そこから6年経った発売50周年の2020年に開花する。
その立役者は2018年から現職の髙﨑憲親社長(32)。26歳で社長に就任すると「ビーバー」に全集中する方針を掲げる。この年、北陸製菓は創立100周年の節目の年だった。
「『ビーバー』は地元で愛されてはいたものの一部の根強いファンに支えられていた傾向にあった。これを北陸のソウルフードと呼ばれるように北陸で圧倒的に売れるブランドに育て上げ、次に全国や世界に届けていきたいと考えた」と髙﨑社長は振り返る。
北陸製菓の祖業は、石川県産のもち米を原料にした米菓(あられ)だが、社長就任時の売上の屋台骨は、ビスケットやカンパンだった。
そうした中で「ビーバー」の成長プロジェクトを立ち上げ、経営資源の8割ほどを「ビーバー」に注ぎ込むことを決断する。
「ビーバー」のキャラクターに成長のポテンシャルを見込む。
「最初からパッケージにキャラクターをデザインして残して下さったことは非常にありがたいことだと思っている。キャラクターは小さなお子様からご高齢の方まで親しみを持っていただける共通言語であり世界に打って出る際にも活用できる」と語る。
キャラクターを前面に押し出すことで、お菓子を超えて笑顔を届けていくことを志向する。
「笑顔をお届けうることは、当社の経営理念“一人でも多くのお客様に笑顔を届けます”にも合致する。お菓子だけに留めるつもりはなく『ビーバー』には無限の可能性を感じている」と力を込める。
キャラクターを立たせてSNSで発信するなど“空中戦”を展開する傍ら、売場では社員がぬいぐるみやお面を配るなどして提案を強化していったところ徐々に売上が伸長した。