博多港に集う“騒音バイク” 若者の改造、安易な現状と警察の対策

福岡市の博多港にある中央ふ頭クルーズセンターは、世界中からクルーズ船が寄港する国際的な港湾施設です。しかし近年、この場所に夜間になると、若者たちが改造を施した轟音をとどろかせるバイクで集まり、深刻な騒音問題を引き起こしています。

若者たちの意識と改造の実態

ある週末の夜、博多臨港署の警察官たちは、クルーズセンターに集まるバイクの取り締まりを実施しました。測定の結果、多くのバイクが基準値を超える排気音を記録し、整備不良として交通反則切符(青切符)が交付されました。

その場にいた18歳の女子高生は、「友達からもらったマフラーに交換したばかりで、大きな音を出して走って目立ちたかった」と語り、特に悪気はなかった様子でした。同じく18歳の男子高生も、「大きい音を出して走る方がかっこいい」という理由で、正規品のマフラーからサイレンサーを外していました。

彼らにとって、クルーズセンターは、仲間とバイクを見せ合い、互いの改造について語り合う交流の場となっています。広々とした空間とコーナーがあるため、新品バイクの試走や運転の練習に訪れる若者もいるようです。

深刻化する騒音問題と県警の取り組み

博多臨港署によると、クルーズセンター周辺でのバイクの騒音に関する110番通報は、2022年は2件でしたが、2023年は12件、そして2024年は9月時点で既に24件と急増しています。通報内容は、「バイク数台がナンバープレートを隠した状態で逆走している」「バイクが爆音を鳴らしながら走行している」といった深刻なものが多く、近隣住民からの苦情も増えています。

福岡県が毎年実施している「県政モニターアンケート」でも、治安が悪いと感じる理由として、「車・バイクの爆音走行や暴走行為を見かけるから」と回答した人の割合が、3年連続で最も多くなっています。

こうした状況を受け、福岡県警は、騒音車両が集まりやすい週末の夜間を中心に、月に複数回、取り締まりを実施しています。また、午後11時以降はクルーズセンター屋外の照明を消灯してもらうなど、騒音対策に力を入れています。

SNSでの情報拡散という新たな課題

しかし、取り締まりを強化する一方で、新たな問題も浮上しています。SNS上では、検問を避けるために、取り締まり情報がリアルタイムで拡散されているのです。

博多臨港署交通課長の太田吉治氏は、「罪悪感なく軽い気持ちで不正改造するケースが目立つが、爆音を出すような改造は違法行為であり、福岡県内の治安悪化の一因にもなっている。より良い福岡にするためにも、ルールを守って走行してほしい」と訴えています。

まとめ

若者たちの間で安易な気持ちで行われるバイクの違法改造は、深刻な騒音問題を引き起こし、地域住民の生活や福岡県のイメージを損なっています。警察は取り締まりを強化していますが、SNSによる情報拡散など、課題も多く残されています。

自分たちの行動が周囲に与える影響について、若者一人ひとりが深く考え、責任ある行動をとることが求められています。