急増する外国人観光客のレンタカー事故、その背景にある意外な免許事情とは?

近年、日本でレンタカーを運転する外国人観光客による交通事故が後を絶ちません。特に人気の観光地では深刻で、悲惨な事故も発生しています。一体なぜこのような事態が起きているのでしょうか?今回は、その背景にある日本の免許制度の”落とし穴”と、外国人観光客の意外な免許取得事情について詳しく解説します。

日本のレンタカー事情と事故の現状

コロナ禍が落ち着き、日本を訪れる外国人観光客が急増しています。彼らにとって人気の移動手段がレンタカーですが、その需要の増加に伴い、事故も増加傾向にあります。特に富士五湖のような人気の観光地では深刻で、2024年7月末時点で既に前年並みの事故が発生しています。

多くの場合、事故原因は交通ルールの違いや、日本の道路事情への不慣れが挙げられます。しかし、その背景には、さらに根深い問題が潜んでいるのです。

国際免許で運転できる?知られざる日本のルール

一般的に、外国人が日本で運転するには「国際運転免許証」が必要です。しかし、ここで注意が必要なのは、ジュネーブ条約で定められた様式で発行された国際免許のみが有効であるという点です。

ところが、一部のレンタカー会社では、この知識不足や確認不足により、無効な国際免許証を所持する外国人観光客にレンタカーを貸し出してしまうケースがあります。

さらに、旅行会社経由の予約では、免許証の確認が予約時に行われないことも多く、レンタカー会社側も外国人観光客とのトラブルを避けるため、厳密な確認を怠ってしまうケースも少なくありません。

中国人観光客が殺到!?日本の免許取得が容易な”外免切替”制度とは?

近年、中国籍のドライバーによる交通事故も増加していますが、実は中国の国際免許証は日本の道路交通法では無効です。では、どのようにして運転免許を取得しているのでしょうか?

その答えは、「外国免許からの切り替え(外免切替)」という制度です。

この制度を利用すれば、一定の条件を満たせば、日本の免許試験を受験せずに、日本の運転免許証を取得することができます。

簡単すぎる?日本の筆記試験と、試験場の大混雑

外免切替に必要な筆記試験は、最大24ヶ国語に対応しており、問題数もわずか10問、7問正解すれば合格と非常に簡単です。さらに、2023年11月には警察庁から手続きを簡素化する通達が発出され、取得までの期間も短縮されました。

その結果、外免切替で日本の免許を取得しようとする外国人が急増し、首都圏や関西圏の運転免許試験場は連日大混雑しています。

安全意識の向上と制度の見直しが急務

外国人観光客のレンタカー事故増加の背景には、日本の免許制度の”甘さ”が潜んでいます。

外国人観光客の安全確保と、日本人の安全を守るためにも、国際免許に関する知識の普及、レンタカー会社側の意識改革、そして外免切替制度の見直しなど、早急な対策が求められています。

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外国人観光客で賑わう日本の観光地。レンタカー需要の高まりとともに、交通事故の増加が懸念されています。

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多くの外国人観光客で賑わう日本の運転免許試験場。外免切替制度を利用して、日本の運転免許を取得するケースが増えています。