「売れないタワマン」を抱えた地方から滅んでいく…不動産バブルの後遺症から抜け出せない習近平主席の三重苦


 10月12日、中国の藍仏安(らん・ふつあん)財政相は、「(中国政府)の債務拡大や財政赤字の余地がかなりある」との見解を示した。今後、中央政府は国債を発行し金融システム支援、低所得層への現金給付や学生支援の拡充などを行う。また、地方政府も債券発行を行って住宅在庫の買い取りなどを増やす。ただ、債券の発行金額は示されなかった。

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 今回の対策がどの程度の効果を中国経済に与えるか、主要投資家や経済の専門家の見方は色々あるようだ。見解が一致しているのは、中央・地方政府による債券発行の増加傾向が鮮明化すること。これから、中国政府は不動産市況を下支えするため、追加の金融緩和を実施するだろう。しかし、金融緩和策には限界がある。いずれ、利下げなどは下限に達し、国債や地方債などの発行額は拡大することになる。

 財政出動の拡大に合わせて、中国政府が新しい産業を育成して需要を創出できればよいのだが、今のところそうした政策方針は出てきていない。国有・国営企業などの過剰生産能力をどうするかも不透明だ。中国全体で経済の債務依存は高まることになるだろう。

■共産党幹部も景気認識の厳しさを示唆

 9月23日以降、中国政府は金融政策を中心とする経済対策を発表した。住宅ローン金利引き下げなどに加え、投資家の保有資産と国債の交換(スワップ)制度も発表した。それを使って投資家は国債を手に入れ、国債を売却した資金で本土株を買う。9月23日から10月8日まで、資金供給の拡大などを好感し上海総合指数など中国株は上昇した。

 多くの投資家は、国慶節の連休直後にリーマンショック後の経済対策(4兆元、当時の為替レートで約57兆円)を上回る財政出動策を期待した。一部では10兆元(200兆円)規模の財政出動を期待する向きもあった。

 ところが、実際には期待された大型の景気対策は出てこなかった。その代わり、連休後の8日、国家発展改革委員会の鄭柵潔(てい・さんけつ)主任が記者会見を開いた。同主任は、マクロ経済の観点から景気の減速を食い止める政策は必要と見解を示した。景気認識の厳しさを示唆する会見だったとの見方は多かった。



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