2024年に入り、近年あまり見られなかった連鎖倒産が増加している。連鎖倒産のリスクが高いのは、どのような業種なのだろうか?人手不足の現在は、人手不足倒産も増えている。建設業と運輸業は手形取引も多く、また人手不足倒産も増えており、連鎖倒産に注意すべき業種と言えるのではないだろうか。みんかぶプレミアム特集「資産防衛白書」第2回ーー。
連鎖倒産の件数が増加中
企業の栄枯盛衰は世の流れと言うべき面があります。ただしコロナ禍の中で、雇用の維持を目的にどんな企業であっても潰さない、との政府の強い意志を背景に、ゼロ・ゼロ融資などを受けて、経営状態が厳しい企業も延命がなされました。しかしコロナ禍が明け、様々な支援制度が終わると、延命企業の破綻が生じています。
また東京商工リサーチによると、2024年に入り連鎖倒産が増加しています。『2024年1~8月の連鎖倒産は、370件に達した。前年同期は288件で、約3割(28.4%増)の増加だ。』と発表されています。(https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198918_1527.html)
連鎖倒産の増加は、近年あまり見られなかった現象です。連鎖倒産の増加=景気後退のシグナルとも考えられ、コロナ禍明け以後、賃上げも進み回復が続いた日本経済は、回復が一服する可能性が生じています。
連鎖倒産への耐性があるのはこんな業態
コロナ禍の中で、休業と引き換えに外食業界に多額の支援金が投じられました。コロナ禍明け後、外食業界の倒産が続いています。しかし外食業界は個人客相手のB2C事業のため、連鎖倒産の耐性が高い業種です。仕入れ先の倒産があっても、支払先の倒産であるため企業経営へのダメージは限定的です。
直近では洋菓子店や美容院の倒産増加が話題となりましたが、洋菓子店も美容院もB2C事業であり、連鎖倒産の耐性が高い業種となります。
このため、足元で倒産が増えている業種=連鎖倒産の増加が見込まれる業種、という構図には必ずしもならない点は注意が必要です。