入ったお金は酒に消え、ネクタイ一本でやりくり…伊藤忠商事・九代目社長の「破天荒すぎる日々」


【画像】ほとんどの人が老後を大失敗する「根本的な理由」

※本記事は丹羽宇一郎『老いた今だから』から抜粋・編集したものです。

飲み代と本代でスッカラカン

私も基本的に同じですが、月々の小遣いをやりくりする才覚はなく、財布の中身が心細くなってくると、そのつど「お金箱」から勝手に取り出します。関心があるのは自分の財布の中だけで、我が家の財政がどうなっているのか何もわかりません。

大学時代は母から必要なときにお金をもらっていましたが、すぐに酒代で消えました。たまにアルバイトでお金が入ると嬉しくなって、「おい、今日は俺がご馳走するぞ」と友達を誘って呑みに行き、あっという間になくなってしまうので、また「お母さん」と言って手を出す。そのお金もすぐ使ってしまうという繰り返しでした。

就職して東京に出てからも、給料をもらうとすぐに全部なくなりました。当時の飲み屋はツケがきいたので、給料の半分はその支払いと本代に消え、半分は独身寮の寮費に充てる。すると持ち金はなくなりますが、食事は独身寮で出るので不自由は感じませんでした。

格好に無頓着の私は新しい服を買う余裕がなくても平気、夏も冬も同じ背広一着とネクタイ一本で過ごしていました。三六五日、ずっと同じ汚れたネクタイをしているので、見かねた同僚の女性社員が「可哀想だから」と、ネクタイを一本買ってくれたことが嬉しい思い出として残っています。

驚愕の「靴下共用」

こんな調子なので、結婚するときも貯金はゼロ。いまだに結婚式場の費用を誰が払ったのかよくわかりません。披露宴のあと、母がワイフに、

「すみませんね。この子は本当にお金に無頓着だから、それだけはきちっとしておいてね」と頼んでいたことを覚えています。

財布が空っぽになると、結婚前は母親に、結婚後はワイフに対して「お金ちょうだい」と言って手のひらを差し出し、たいして多くもない小遣いをもらう――。そういう生活に慣れてしまったため、私にはお金に対する執着がありません。お金を貯め込むことに一所懸命になる生活は、今も昔も私の性には合いません。

さらに連載記事〈ほとんどの人が老後を「大失敗」するのにはハッキリした原因があった…実は誤解されている「お金よりも大事なもの」〉では、老後の生活を成功させるための秘訣を紹介しています。

丹羽 宇一郎



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