中国揚陸艦と同サイズの標的艦を誘導爆弾1発で撃沈…米爆撃機がRIMPACに参加した理由とは


【写真】長距離対艦ミサイルを発射するFA18とクイックシンクを投下して大型貨物船を撃沈するF15E

 米軍は、実射撃訓練用の標的艦として退役した揚陸艦2隻を用いましたが、その排水量やサイズは、台湾海峡侵攻時に中国海軍が用いるであろう揚陸艦とよく似たものでした。中国軍に「台湾侵攻を夢見てはならない」という強力なメッセージを投げかけた、と言えます。

■GPS誘導のGBU31JDAMを使用
 今年のRIMPACには韓国からも駆逐艦「栗谷李珥」など4隻の艦艇が参加しました。敵艦艇(に見立てた標的艦)を実弾で攻撃し、撃沈する「シンクエックス(SINKEX)」訓練は7月11日と19日の2度にわたって行われました。7月11日には退役した米海軍の揚陸艦「ダビューク」(排水量1万7000トン、LPD-8)、19日には3万9000トン級の強襲揚陸艦「タラワ」(LHA-1)が標的になりました。

 米海軍の空母から発進したFA18Fスーパーホーネット戦闘機は、米国の新型長距離対艦巡航ミサイル(LRASM)を発射したといいます。射程が370キロのこのミサイルは、レーダー網を避けて巡航し、目標を精密攻撃できるステルスミサイルです。

 B2ステルス戦略爆撃機は7月19日、2度目の訓練に参加し、クイックシンクで「タラワ」を撃沈したそうです。「タラワ」は全長250メートル、幅32メートル、排水量3万9000トンに達する強襲揚陸艦です。7万-8万トン級の空母の半分近くにもなる大型艦でした。

■075型揚陸艦など中国の大型艦を意識
 中国海軍が有事の際、台湾侵攻に動員するであろう強襲揚陸艦は、075型と071型です。21年に就役した075型は満載排水量が3万6000トンで、現在3隻が実戦配備されています。800人の海兵隊員と60台の水陸両用戦車、2隻の揚陸用ボートを積み、26機のヘリを搭載できるといいます。071型は排水量2万5000トンの揚陸艦で、中国海軍に8隻が配備されているそうです。この二つのタイプの揚陸艦は、今回の訓練で撃沈された米海軍の退役揚陸艦に近いサイズです。

 B2爆撃機が今回撃沈に使用したクイックシンクという爆弾の正式名称は「GBU31統合直接攻撃弾(JDAM)」です。2000ポンド(およそ910キログラム)級の爆弾にGPS(衛星利用測位システム)とレーダー・赤外線センサーなどを取り付けて、目標を精密に攻撃できるといいます。

 22年4月に最初のテストをしたときは、米空軍のF15E戦闘機がメキシコ湾でこの爆弾を投下し、1発で大型貨物船を真っ二つにしたそうです。1発当たりの価格が2万ドル(現在のレートで約300万円。以下同じ)水準と、安いことが強みです。B2はクイックシンクを最大16発まで搭載できるといいます。



Source link