上海・南京・合肥高速鉄道:世界最大級のシールドマシンが長江川底トンネル掘削で偉業達成

中国が誇る世界最大級の鉄道建設用シールドマシン「領航号」。その直径はなんと15.4メートル。この巨大マシンが、長江川底に建設中の高速鉄道トンネル工事において、1000個目のリングセグメント掘削を達成し、全長2キロに到達しました。これは、上海と南京、合肥を結ぶ高速鉄道ネットワークの要となる水中トンネル建設における重要な節目となります。

難工事への挑戦

今回の偉業により、「領航号」は、さらに難易度の高い建設作業に進むことになります。中鉄トンネル局集団によると、このトンネルは、上海市の崇明島と江蘇省の太倉市を結ぶ全長14.25キロの水中鉄道トンネルとなる予定です。

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プロジェクトの副主任技師である傅博偉氏によると、緩やかな下り勾配が続く中、周囲の水圧が工事に大きな影響を与えているとのこと。鉄道の両方向に対応するトンネルの多くは、川底の89メートル下に位置し、水圧は0.9メガパスカルに達します。これは、人間6人が指の爪に乗っているほどの圧力に相当します。

「この巨大な水圧は、設備や技術に非常に高い要求を課している」と傅氏は語り、128メートル長のシールドマシンが4月に作業を開始したことも付け加えました。

世界最高速度を目指す水中トンネル

トンネル内外では高速鉄道が最高時速350キロで走行する予定で、これは水中トンネルにおける世界最高速度となります。中国紙「解放日報」によると、このトンネルは2029年末までに上海・南京・合肥高速鉄道の運行準備が整う見込みです。

現在、トンネル建設は長江北岸の堤防を越え、川底に1100メートル以上進んでおり、掘削環境は軟らかい土壌から砂質地層に変わってきています。

傅氏によると、掘削環境には硬いセメントが含まれており、シールドカッターが摩耗しやすくなっているとのこと。しかし、シールドマシンには工具の摩耗を検出するシステムが搭載されており、摩耗が検出されるたびに対応して調整を行っているため、工事は順調に進んでいるようです。

環境への配慮も

現在の工事は水産保護区の下で行われており、泥圧や推進力、進行速度などの掘削パラメータを最適化することで、環境への影響を最小限に抑えながら作業を進めているとのことです。

トンネル全体の建設プロジェクトは、水産保護区や港湾、公園など20か所近くのリスクエリアを通過する必要があるため、環境保護には細心の注意が払われています。

最新技術を駆使したスマート建設

プロジェクトの副マネージャーである劉建平氏によると、クラウドコンピューティングや人工知能(AI)を活用した8つのスマート建設システムが導入されています。これらのシステムは、トンネル掘削、組み立て、プレハブ製造、輸送、換気、検出、管理および制御に使用される予定です。

長江経済ベルト発展の鍵

上海・南京・合肥高速鉄道は、上海・重慶・成都高速鉄道ルートの東側セクションであり、中国の国土を南北8本、東西8本の高速鉄道ルートである「八縦八横」鉄道ネットワークにおける長江流域高速鉄道回廊の重要な部分となります。

このプロジェクトは、上海を中心とする巨大都市圏と、南京や合肥を中心とする2つの都市圏を結ぶ新しい高速移動手段を提供することになります。また、長江デルタ地域内の都市同士の連携を強化し、長江経済ベルトの協調発展を支援し、デルタ地域の一体的な発展を促進する役割も期待されています。