衆院選の終盤戦に入り、共産党が機関紙「しんぶん赤旗」で野党各党を攻撃している。選挙戦で立憲民主党を含む野党との選挙協力が限定的なことを踏まえ、政権批判の受け皿としての存在感を示したい狙いが透ける。ただ、他党への攻撃は選挙後の関係にも響きかねず、再び孤立を招きそうだ。
しんぶん赤旗が繰り返し取り上げるのが、野田佳彦代表率いる立民だ。共産は野田氏の政治姿勢が保守的などと主張し、今回は積極的な選挙協力には踏み切らなかった。23日付では元立民の国会議員がインタビューに応じ、野田執行部について「安保法制、原発など共闘の原点から外れてきていますが、野党共闘の再構築のために共産党が伸びることが重要です」と批判した。
選挙戦で共産は比例代表を主戦場に据え、比例票650万票、得票率10%以上などを目標に掲げる。機関紙での他党攻撃は、比例票を積み増すための戦略の一環との見方もある。19日付の論評記事では日本維新の会の馬場伸幸代表と国民民主党の玉木雄一郎代表を攻撃。支持層が重なるれいわ新選組にも批判的だ。
ただ、自民、公明両党が過半数を割り込む場合も想定し、立民や国民民主からは選挙後の政局を見据えた発言も相次ぐ。強気な共産に、立民幹部は「仮に議席を増やしても十数人でしょ。国会内で少数政党のままでいいなら、それでいいけど」と突き放した。
共産関係者は「機関紙では立民への政策批判をしている。だが、選挙後の関係もあり、野田氏個人への批判は控えている」と語り、今後の野党政局に一枚かみたいとの思いをにじませる。