石破茂も青ざめる…自民党の「あまりの劣勢」を前に、幹部たちが進めている「追い込み戦略」の意外な中身


過半数割れが見えてきた

報道各社による情勢調査では、自公合わせた与党で過半数割れする可能性も出てきており、永田町には衝撃が走っている。

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自民党は終盤にかけてテコ入れする重点区を絞り込み、応援演説に幹部を投入するなど攻勢をかけているが、予想以上の苦戦に各陣営では焦りの色がにじんでいる。

10月21日の午後9時ごろ。

自民党本部に集まった石破茂首相、菅義偉副総裁、森山裕幹事長、小泉進次郎選対委員長らの表情は一様に暗かったという。

永田町関係者は語る。

「今回の衆院選は序盤から自民党が約30議席ほど減らし、単独過半数に届かないという厳しい情勢が伝えられていたが、選挙中盤に各政党や報道各社が実施した情勢調査によって、自民党は約50議席ほどを減らし、公明党と足し合わせた与党でも過半数に届かない可能性が出てきた。このような結果になると石破政権にとっては大ダメージになることが必至で、政権幹部には危機感が漂っている」

この夜の会議では野党と接戦を繰り広げている重点区を選定。

自民党関係者によると、与野党が一進一退の攻防を繰り広げている首都圏の選挙区のほか、北は北海道4区、南は福岡2区までの約40の選挙区をピックアップし、さらに、大阪万博や兵庫県の斎藤元彦元知事の問題で勢いが落ちている日本維新の会に対抗するため、大阪の全選挙区を重点区としたという。

一方で、党の情勢調査で野党と10ポイント差以上で負けているところは、諦めて重点区から外すことや、石破首相が応援に入った選挙区で惨敗した場合は責任問題となるため、敗色濃厚なところは避けることなども確認されたようだ。

なぜここまで追い込まれたのか

永田町関係者は「石破首相が裏金議員の一部を非公認にしたことや、全員の比例代表への重複立候補を禁じたことが裏目に出たのではないか」と分析する。

「裏金議員に対して厳しい措置を取ることによって、問題にけりをつけようと石破首相は考えたのかもしれないが、その結果、萩生田光一氏や下村博文氏、高木毅氏や丸川珠代氏などの、大臣を経験した大物議員が小選挙区で落ち、比例復活もできず、ついに議員バッジを外すかもしれないと注目されてしまった。衆院選を巡るニュースも、裏金議員の選挙戦にフォーカスが当たっており、有権者も裏金問題を一層意識することになったのではないか」

また、この一連の措置によって、裏金問題の舞台となった旧安倍派の保守系議員から反発が相次いでおり、保守層の自民党離れも起きている。

かわりに、まだ国政議席を持っていない日本保守党が、河村たかし前名古屋市長が出馬する愛知1区だけでなく、比例代表で複数議席を獲得する見込みだ。

結局、石破首相が土壇場で決めた裏金議員に対する対応は、リベラル層や中間層からは問題を再認識させる機会となり、保守層からは反発を招く事態を生んでしまったと言える。

一方、立憲民主党などの野党も終盤に向けて引き締めを図っている。

永田町で出回っている、10月16から20日にかけて自民党が実施したとされる情勢調査の情報によると、東京で裏金問題による逆風を受けていた、1区の山田美樹氏や7区の丸川氏、11区の下村氏が追い上げをみせているほか、24区の萩生田氏も力強さを示していて、立憲関係者は「最後まで油断できない」と各陣営の押し上げに励む。

結果によっては石破政権にとって致命傷となるかもしれない衆院選。この衆院選が終わった後、永田町ではどのような動きが起きるのか。

【つづき】「自民・公明の「過半数割れ」もある…そのなかで始まった「連立」をめぐる暗闘のゆくえ」の記事でくわしくお伝えする。

宮原 健太(ジャーナリスト)



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