「自力で立ち上がれない状態」
卒寿となられた上皇后さまが、あろうことかお住まいで転倒し、骨折のおけがを負われてしまった。直ちに手術を受け、さる13日には無事退院なさったのだが、日々“満身創痍”の御身で上皇さまをお支えになるお暮らしにあって、懸念はなお拭えないのだ。【前後編の前編】
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1959年にお輿入れなさってから65年。今月20日に90歳を迎えられた上皇后さまがアクシデントに見舞われたのは、さる6日の夕刻であった。宮内庁担当記者が言う。
「お住まいである仙洞御所の私室部分で転倒なさいました。お近くに上皇さまもいらっしゃったのですが、上皇后さまは自力で立ち上がれない状態だったといいます。右足のお痛みがひどく、翌日午後に東大病院で検査を受けられたところ、『右大腿骨骨折』と診断され、入院。8日の早朝から手術に臨まれたのです」
すでに立ち上がって歩行訓練を
手術は、ずれた大腿骨を金属でつなぐ「骨接合術」というもので、2時間ほどで終了した。
「翌日から上皇后さまは、車椅子に座って骨折していない左足を動かす、といった筋力維持のためのリハビリを始められました。入院期間は当初1~2週間とされていましたが、医師の判断もあり、おけがから1週間後の13日午後、早々にご退院となりました」(前出の記者)
卒寿のお誕生日をめでたく御所で迎えられた上皇后さまは、すでに立ち上がった姿勢での歩行訓練もなさっているという。
「仙洞御所は2年前の改修でバリアフリーとなり、私室部分にはエレベーターが設置され、階段にもスロープが備えられています。今後はもっぱらご自宅で、平日は東大病院から理学療法士を招き、土日はおもに上皇職がお世話をしながらリハビリに取り組まれる予定です」(同)
「床ずれや肺炎などの合併症リスク」
深刻な事態に至らず何よりである。整形外科専門医で「とだ小林医院」院長の小林慎一郎医師が言うには、
「上皇后さまは『右大腿骨上部の骨折』と報じられましたが、これは股関節周囲の『大腿骨近位部』の骨折を指すとみられます。ここは歩行時に力が入る箇所のため、けがをしてしまうと動かした時に強い疼痛が生じ、どうしても歩くことが困難になって筋力が衰えていきます。そうなると寝たままの状態が多くなり、床ずれや肺炎などの合併症を引き起しかねません。それを防ぐためにも早期に手術を行い、さらには『早期離床』をすることが重要になってくるのです」
肝心のリハビリの内容については、
「ベッドから車椅子への移乗に始まり、平行棒や歩行器を用いた歩行訓練などが想定されます。こうしたトレーニングをおよそ数カ月、根気強く続ける必要があります。ただし一般的には、骨折前の歩行状態に回復するとは限りません。折れた足をかばうような歩き方になったり、つえが必要になったりするなど、歩行機能が低下するケースも多く見受けられます」(同)
リハビリ中も、決して気を緩めることができないというのだ。