使われないギフト券が企業にもたらす「退蔵益」の驚くべき実態とは?

あの有名企業も? 意外な利益を生み出す「退蔵益」

普段何気なく利用している商品券やギフト券。実は、これらの「使われない」権利が、企業に大きな利益をもたらしていることをご存知でしょうか?今回は、企業会計に詳しい株式会社ファインディールズ代表取締役の村上茂久氏に、決算書から読み解く「退蔵益」の実態について伺いました。

サーティーワンアイスクリーム:ギフト券戦略で安定収入

例えば、サーティーワンアイスクリームを運営するB-R サーティワン アイスクリーム。有価証券報告書によると、2023年12月期の「販売済み未使用ギフト券収入」は、なんと3億383万円!これは、経常利益の16.3%に相当し、企業にとって大きな収益源となっていることがわかります。

サーティーワンアイスクリームのギフト券サーティーワンアイスクリームのギフト券

同社は、このギフト券販売を重要な戦略と位置付け、販売強化に取り組んでいることを明らかにしています。

百貨店業界も:高島屋や近鉄百貨店のケース

百貨店業界でも、「退蔵益」は重要な収入源となっています。高島屋の場合、2024年2月期に計上された「未回収商品券整理益」は15億円。近鉄百貨店においても、「未請求債務整理益」として10億8800万円を計上しています。

百貨店の商品券百貨店の商品券

特に近鉄百貨店のケースでは、経常利益の28%を「退蔵益」が占めており、その割合の高さに驚かされます。

世界規模の「退蔵益」:スターバックスの驚愕の金額

世界に目を向けると、さらに巨額の「退蔵益」を得ている企業が存在します。それが、アメリカのスターバックスコーポレーションです。

スターバックスカードやドリンクチケットなど、世界中で販売されるプリペイド式のギフト商品。これらの未使用分の計上額は、なんと2億ドル(約300億円)にものぼります。

これは、日本の平均的な上場企業の営業利益の2倍に相当する金額であり、「退蔵益」が企業にもたらす利益の大きさを物語っています。

まとめ:身近な「退蔵益」、その仕組みと影響力

今回は、企業会計の視点から「退蔵益」の実態について解説しました。ギフト券やプリペイドカードなど、私たちの身近なところにも存在する「退蔵益」。その仕組みを知ることで、企業の戦略や収益構造への理解を深めることができるのではないでしょうか?