公明・石井代表、埼玉14区で苦戦 自民の大物応援頼みも…代表落選の悪夢再び?

衆議院選挙戦も終盤に差し掛かり、各党党首の選挙区での戦況が注目を集めている中、公明党の石井啓一代表が苦戦を強いられている。埼玉14区で立候補した石井氏だが、各種世論調査では国民民主党の鈴木義弘氏にリードを許す展開。25日には草加市の公園で行われた街頭演説で「本当に厳しい選挙戦。残り1日、どうか皆さまのお力で勝たせてください、逆転勝利をさせてください!」と声を張り上げ、支持を訴えた。

公明党の窮地?石井代表、選挙区で苦戦

本来であれば党代表として全国を飛び回り、党の仲間の応援に駆けつけるべき立場だが、現状は自身の選挙区での戦いに手一杯の様子だ。25日には自民党の岸田文雄前首相が応援に駆けつけ、「さまざまな分野で結果を出してきたのが自民党、公明党の連立政権。口先だけの野党とは違う」と自公連立政権の結束をアピールし、石井氏への支持を呼びかけた。

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石井氏への応援演説を行う岸田文雄前首相(左から2人目)と石井啓一氏(右)

岸田氏のみならず、石井氏には連日“重量級”の応援が続いている。13日には石破茂首相が就任後初の街頭演説として駆けつけ、15日には東京都の小池百合子知事が応援に駆けつけるなど、異例の体制で選挙戦を展開している。

選挙区変更と自民党との関係

9月末に15年間代表を務めた山口那津男氏から代表を引き継いだ石井氏。1993年の初当選以来、比例代表東京ブロックなどで当選を重ねてきたが、今回は小選挙区に初挑戦。選挙前は「代表が重複をやると士気が下がる」と比例重複を辞退するなど、選挙戦に臨む姿勢を見せていたが、現状は厳しい。

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選挙区で支持を訴える石井啓一氏

石井氏が苦戦する背景には、選挙区の変更も影響している。「10増10減」で新設された埼玉14区は、かつて自民党の三ツ林裕巳氏が地盤としていた三郷市と八潮市を含む。石井氏と三ツ林氏は、それぞれ自民票と公明票の獲得を目指して選挙協力を行ったが、これが裏目に出たとの見方もある。

裏金問題の影響は?

さらに、自民党が非公認とした兵庫9区の西村康稔氏や埼玉13区の三ツ林裕巳氏ら、いわゆる“裏金問題”で公明党が推薦を継続した候補への逆風も指摘されている。有権者からは公明党の姿勢に疑問の声も上がっており、石井氏の苦戦に拍車をかけている。

公明党代表の落選は過去にも

過去には2009年の衆院選で、当時の太田昭宏公明党代表が東京12区で、2014年には民主党の海江田万里氏が東京1区で落選し、ともに代表を辞任している。今回の選挙戦では、石井氏以外にも、自民党の牧原秀樹法相や小里泰弘農相など、現役閣僚を含む多くの候補が苦戦を強いられている。

石井氏は26日の最終日は北海道に入り、全国比例区のてこ入れを図る予定だ。報道陣に対しては「最後は一票でも多く、必ず勝つ」と語気を強めたが、選挙戦最終盤まで予断を許さない状況が続きそうだ。