朝ドラ『おむすび』賛否あるが…26歳俳優の演技が”マツケンの名演”にも負けないと言える理由


【画像】朝ドラ『おむすび』(全4枚)

 その細部をけん引するのが、佐野勇斗である。わずかな動作によって映像的な効果をうむ様は、前作の朝ドラ『虎に翼』の松山ケンイチに匹敵するかもしれない。

 イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、松山ケンイチの微動に匹敵するかもしれないと感じる本作の佐野勇斗を解説する。

微動を追う朝ドラの面白さ

 第22週第108回、主人公・佐田寅子(伊藤沙莉)が提出した意見書を元あった位置にそろりと微動させるなど、松山による動作の数々を見て、あぁそうか、俳優の微動を追う朝ドラの面白さがあるのかと筆者は膝をうった。第1回から最終回までほんとに一度もぶれずに松山は微動だけで視聴者を画面に注視させ続けた。

 では今回の朝ドラ『おむすび』はどうか。前作とのあまりに単純過ぎる比較論によって世間から不評を買っているこの作品にも、そうした魅力的な微動は探せばちゃんとある。

前作の松山ケンイチに匹敵する存在?

 初登場は、松山同様に第1回。海辺で釣りをしていた少年たちのひとりが帽子を落としてしまい、結がすかさず海に飛び込む場面。結が溺れていると勘違いした翔也が、野球ユニフォーム姿で「今助けっぞ」とどぼんと海中に飛び込んでくる。

「つかまれ」としきりに助けようとする翔也に対して、結が「なんで」と平常心でやり取りするのがおかしい。この熱血漢と結との間にはたえず温度差がある。その絶妙な距離感が、『虎に翼』の寅子と桂場とのデコボコな関係性と似ていなくもない。これはもしかするともしかするのかもしれない。本作の佐野が前作の松山に匹敵する存在となるのか?



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