日経平均株価と経済の不安定化
2024年7月、日経平均株価は史上最高値を更新し、4万2224円2銭を記録しました。しかし、そのわずか1か月後には過去最大の暴落に見舞われるなど、株式市場は大きな変動に揺れています。
このような不安定な経済状況下において、私たち自身の資産を守るためには、何が重要なのでしょうか。NVIDIA社の急成長や新しいNISAの活用方法など、注目すべき経済トピックは数多くありますが、今回は世界的な経済アナリストであるエミン・ユルマズ氏と第一生命経済研究所の永濱利廣氏の対談から、日本経済復活のシナリオを探っていきます。
生成AIの著作権問題とマネタイズの壁
生成AIが学習に利用したとされる著作物
近年のAI技術の進歩は目覚ましく、特に注目を集めているのが「生成AI」です。しかし、その発展の裏側には、解決すべき課題も山積しています。
ユルマズ氏は、生成AIが抱える大きな問題点として、著作権の問題を指摘しています。生成AIは、インターネット上の膨大なデータ、つまりは誰かが創造した著作物を学習材料としています。しかし、その利用に関して、権利者の許可を得ているケースは決して多くありません。
例えば、ソニーミュージックはAI関連企業約700社に対し、自社の音楽コンテンツを無断で使用しないよう、書簡で警告しました。また、ニューヨークタイムズも、ChatGPTを開発したOpenAI社を著作権侵害で訴えています。
生成AIが著作物を無断で使用した場合、将来的に法的な制限が強化され、高額な著作権料の支払いが発生する可能性があります。そうなれば、AI企業の収益は圧迫され、AI技術の進化そのものが停滞するかもしれません。
生成AIビジネスの収益化モデルの課題
生成AIのビジネスモデル
さらにユルマズ氏は、生成AIの収益化モデルについても疑問を呈しています。現状では、ChatGPTのようなサブスクリプション型サービスや、AIを活用した広告収入などが主な収益源となっています。しかし、サブスクリプション料金は低価格競争に陥りやすく、広告収入も頭打ちが予想されます。
ユルマズ氏は、「iPhoneが誕生した時のような、巨大なビジネスチャンスを感じない」と述べています。現在の生成AIは、投資家たちの期待先行で過剰に評価されている側面があり、「AIバブル」の崩壊も懸念されています。
まとめ
生成AIは、私たちの生活を大きく変える可能性を秘めた技術です。しかし、その発展のためには、著作権問題や収益化モデルなど、解決すべき課題が多く残されています。
真に社会に貢献するAI技術を育んでいくためには、開発者だけでなく、私たち利用者一人ひとりが、AI技術と向き合い、その可能性と課題について深く考えていく必要があるのではないでしょうか。
