10月27日の投開票日を迎えた衆院選。非公認候補に2000万円を渡していたことも逆風となり、連日、自民党劣勢の情勢が報じられている。そんな中、知名度の高い応援弁士は全国各地を駆けずり回っている。その1人が、岸田文雄前首相(67)だ。
岸田→コロッケのリレー
「10月20日には門寛子氏(東京8区)、石原宏高氏(東京3区)の応援演説をこなした後、静岡県に移動して、2人の候補の応援演説を行いました。前首相という抜群の知名度を期待されているのか、応援に行く先のほとんどが激戦か、自民劣勢が伝えられる選挙区です」(政治部記者)
とくに激戦を繰り広げているのが、“石原ファミリーの三男”石原氏だ。石原氏と岸田氏の縁は深く、岸田政権だった2023年には、石原氏が内閣総理大臣補佐官に就任している。武蔵小山駅前で行われた岸田氏の応援演説には、600~700人の聴衆が詰めかけた。
「岸田氏は応援演説で、石原氏を『最も信頼する同志』と持ち上げました。さらに岸田氏が演説を終えて会場を後にすると、次に登壇したのはモノマネ芸人のコロッケ。豪華な“演説リレー”となりましたが、岸田氏に対する厳重な警備がコロッケの演説の際にも変わらず敷かれていたため、さもコロッケに物々しい警備がついているような図に……」(同前)
長男・翔太郎氏を直撃
そんな全国への応援行脚の合間を縫い、岸田氏は10月21日に地元・広島1区に入り、区割り変更のあった選挙区の“地元固め”に勤しんだ。広島市に隣接する各町を回り、最後に訪れたのは府中町。じつはこの町、岸田氏や、長男で秘書を務める翔太郎氏にとっては“因縁の地”で――。
「今年5月に行われた町長選で保守分裂が起こり、翔太郎氏が応援に駆け付けた自民推薦候補が大敗したのです。当時、岸田氏は現職首相。翔太郎氏は応援演説で『内閣総理大臣の岸田文雄の代理で来ました』と“首相パワー”を前面に打ち出しましたが、及ばなかった。岸田氏は自身の選挙は優勢ですが、一抹の不安の残るこの町には自ら足を運んでおきたかったのでは」(地元記者)
そんな町での個人演説会をつつがなく終えた岸田氏。終了後、会場外には支援者を見送るブルーのスーツ姿の翔太郎氏が。「週刊文春」記者が近寄ると、支援者と間違えたらしく、「ありがとうございました!」と屈託のない笑顔を向けた。だが記者が名乗ると、
「あー。ちょっと、ごめんなさいね」
と顔をこわばらせた。
――選挙、手ごたえは?
「いやいや、すみません。またゆっくり。私もドタバタしているので」
そう言い残し、その場を立ち去ったのだった。
岸田効果はあるのか
岸田氏渾身の「全国行脚」の効果はあるのか。岸田氏が応援に訪れた石原氏の東京3区をはじめ、 全289選挙区の「当落予測リスト」 は、現在配信中の「 週刊文春 電子版 」および現在発売中の「週刊文春」で読むことができる。
「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年10月31日号